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私たち日本人のごちそう「お寿司」。最近は外国人にも人気で、今や「SUSHI」は世界共通語ですよね。手ごろな回転寿司にはよく行くけれど、いつかは本格的なお寿司屋さんでスマートに注文してみたい!社会人3年目の私、ついに憧れのカウンターデビューです。
知識より、欲するままに?!
回転寿司やスーパーのお寿司を食べ慣れた世代にとって、まちのお寿司屋さんは高嶺の花です。この日、先輩に連れて行ってもらったお店は、職人歴30年の大将が腕をふるう老舗店でした。わぁ、やっぱり雰囲気あるなぁ…。緊張しながらカウンター席に座ります。
私、事前に予習しました。ネットで「玉子から食べるのが通」であると。にやにや黙っている先輩の横で、私はちょっと澄まして注文です。「まずはギョクでお願いします!」。大将は「順番とかは気にせず、好きなもの頼んでいいんだよ」とにっこり教えてくれました。浅い知識で通ぶった私。隠語を使っているのがバレバレ。きっと顔は真っ赤でした。「じゃあ、何か白身魚をくださーい」。先輩は大笑いです(くやしい)。
最近は、高級店でも既製品の玉子焼きを使っているところも少なくなく、「玉子で店の力量を確かめよう」という目論見はあまり意味がないそう。とはいえ、昔から言われている基本の順番というのはあり、「刺身、焼物、揚げ物、煮物という日本料理の順番に沿って、マグロ、白身、貝、光りもの、アナゴなどの煮物」とか、「淡白なものから濃いもの、最後は巻きものでさっぱり」といった流れ。ただし、これも絶対ではありません。「ネタの持ち味を一番生かせるのはシャリが人肌の時。時間が経つとネタとシャリの温度差がなくなって、本来のおいしさが失われてしまいます」と大将。順番よりも、出てきたらすぐに食べることがおいしく食べるポイントのよう。がっついているように見えるかな、なんて思っていたけど違うのですね。
大将は私の食べるペースを観察して、常に握りたてがお皿に並ぶようにテンポよく握ってくれます。ちょっとお休みしたいときは、そのように伝えること。「職人なら、味わって食べたいんだな、とむしろ好感を持ってくれるものだと思うよ」。怒られるかも?なんて心配は無用です。
調子づいて、翌週もう一軒
こちらの大将は、旭川で30年、東京で20年近くお寿司を握ってきました。東京で握っていたのはいわゆる「江戸前寿司」。全国から旬のネタが集まるようになった今は、厳密な意味での江戸前ではありませんが、新鮮なうちに旨みを凝縮させる「仕込み」をするのが特徴だとか。代表的なものが、〆る・焼く・蒸す・煮る・漬けるといった技法です。
一方、北海道のお寿司といえば、素材の鮮度を生かした生寿司。新鮮なネタをそのまま握るので、蝦夷前なんていう俗語もあるそうです。「塩で〆め、酢にくぐらせることで旨みを出す江戸前の技を、光り物など必要なネタに随所に取り入れたのが北海道の寿司。ネタ自体が新鮮なので、北海道は回転寿司もレベルが高い」と大将。
年間を通して、冷凍ものでも定番ネタを揃えなければならない回転寿司に対して、寿司店では旬というものを潔く割り切っています。「旬を外れたネタは脂のりが悪く、価格も高い。他店で出る前に、先取りして仕入れることはありますけどね。旬に乗り遅れるのは、寿司店では絶対にNG」ときっぱり。うーん粋だわー。
それだけ旬にこだわる寿司職人。市場や魚屋には毎日足を運び、それを見極めるのが職人の基本だと言います。「魚のランクは、自分は10段階くらいに分けています。季節によって獲れた場所や大きさ、沖〆なのか、浜〆なのか、活〆なのか」。経験豊富な職人は、季節によって魚の顔が変わってくるのが分かるそう。すごい!私のような初心者は、その日入ったネタの中からおすすめを出してくれる「お任せ」が無難のようですね。
お店に入ったら、最初に予算(4000円~1万円ほど、飲み物代は別)を伝えて、お任せで。気に入ったネタは再度注文すればいい感じ。よし、回らないお寿司屋さんも、もう怖くありません!