オーダー家具の技術を生かす
打楽器「カホン」に旭川の味

　市内で40年以上にわたってオーダーメードの建具や家具を製造するイシグロ製作所は、このほど新ブランド6ses(シクセス)を立ち上げ、木製打楽器「カホン」のオリジナルモデルを発表しました。

　南米ペルーが発祥といわれるカホンは、じかにまたがって演奏する箱型の打楽器。箱全体が打面になっていて、叩く場所や強さによって音が変わる自由度の高い楽器です。持ち運びがしやすく電源がなくても演奏できるため、近ごろは野外やアコースティックライブで多くのアーティストに取り入れられています。

　イシグロ製作所の職人・石黒裕之さんは、自身もバンド活動を行うドラマー。音質、音量にすぐれた手触りのいいカホンを求め、家具職人としてのスキルを生かして自ら製作に乗り出しました。打面と調整金具以外に釘やネジを一切使わず、全て実(サネ)とよばれる突起で板と板をつなぎ合わせます。「家具づくりではよく使われる方法で、より強くしっかりと組むことができるんです」と石黒さん。さらに材料の厚さや組み方を工夫することで抜けのよい音と程よい音量を実現。楽器としての完成度も上げています。また通常音色の調節には届きにくい箱内部のツマミを回したり専用の工具が必要だったりと手間がかかりますが、これは底面のツマミを素手で簡単に操作することができます。奏者の視点で作られたカホンは3月の発売から口コミで広がり、すでに市内外から多くの注文が寄せられています。

　「家具のまち旭川ならではの技術やノウハウを取り入れた楽器が、まちおこしの1つになれば」と石黒さん。今後は子ども用カホンも制作予定。問い合わせ、注文は6ses(電話0166-26-2000)へ。