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自宅と学校、友だちの家、習いごとの教室――子供たちが出歩くエリアは、大体いつも決まっています。この冬休みは少しフィールドを広げて、普段はできないことに挑戦しませんか?この町のあちこちで、ふだんは会えない人やモノが新しい驚きや感動を教えてくれています。今回は教科になぞらえて、さまざまな分野で活躍する人たちに新しい一歩を踏み出すヒントを聞いてきました。
【算数】先読み能力を鍛える。ちびっこも注目の将棋
- 真剣勝負に年齢は関係ありません
中学生棋士、藤井聡太四段の活躍もあり、旭川でも子供たちの間で人気が広がっています。日本将棋連盟旭川中央支部道場・旭川将棋会館では、月に1度のペースで子供教室を開いています。
教室の代表を務める村上美香さんは「子供たちには三手先まで読みましょうと伝えています。その力が算数に繋がるのではとは言われていますね」と話します。取材日には幼稚園児から中学生まで28人が集まりました。小1の谷川颯希(りの)くんは「いろいろ考えるところが楽しい。強くなってお兄ちゃんに勝ちたい」と頭脳戦の楽しさを感じている様子。また小1から会館に通い、現在中学3年生の村上葉音(はのん)さんは全国大会に出場するほどの実力の持ち主です。「幼稚園児からおじいちゃんまで幅広い年代の人と話せるのが魅力。大会で勝てると嬉しい。全国大会で会った友だちも各地にいます」と将棋の魅力を語ります。葉音さんは数学は特に得意ではないと笑いますが、先を読む論理的な思考力が全国への道を開いたことは間違いなさそうです。
次回の教室は1月13日(土)午後2時から4時。申し込み不要で誰でも参加できます。参加費はひとり1回400円。初心者にはルールや礼儀作法から教えます。
【理科】見つけた!わかった!感動体験が次への力に
- 化石のクリーニングの様子。教室に参加できない子には、先着20人に有孔虫の化石が入った沼田町の泥をプレゼントしてくれます
「体験しておもしろいって感じたら大成功!」と旭川市科学館「サイパル」の岩石学担当学芸員・向井正幸さん。科学館が主催する「理科クラブ」の先日の活動では、沼田町の泥から500万年前の有孔虫の化石を取り出して観察する実験が行われていました。
泥から1ミリにも満たない化石を取り出し、低倍率のルーペで観察すると誰かが「アンモナイトみたい」と発言。さらに顕微鏡を覗くと、筋に見えたところは連続した小さな孔だったことに気付きます。「子供たちは、泥から自分が化石を取り出したことにまず感動するし、予想と違う驚きにも出会えました。きっかけがあれば、そこからは自力で追求していく」と向井さん。ためしに向井さんが地質学に興味を持ったきっかけを聞くと、「保育園児のころ神居地区で田んぼを宅地造成しているところを見ていると、1メートルの深さに地層が見えたんです。人間が登場するはるか以前の大地が、層になって見えることに感動して…」と、幼い頃の衝撃が人生を決めたことを教えてくれました。
「科学館では冬休みの間、様々な教室を予定しています。いくつでも試して一番おもしろいと感じたことを突き詰めましょう」。
【社会】地図作りで養う科学の基礎と社会の視点
- 氷見山さんが感動した過去の作品。日本地図と周辺環境、エリア内の花壇を調べた作品で、マクロとミクロの視点が1枚に美しく納められています
地図作りを通して、科学の基礎的な力が養えると教えてくれたのは地理学者で環境地図教育研究会顧問の氷見山幸夫さんです。氷見山さんはイギリス留学時代に屋外マッピングを学び、自分が観察したものを記録、整理し、分析して結果を発表する地図作りは、すべての科学の基礎につながると確信しました。
自分の身の周りの環境からテーマを見つけ出し地図に描く「環境地図」は、旭川で1991年から小・中・高校生を対象に作品展が続けられています。中国やスロベニア、インドなど世界各地からも多くの作品が寄せられる国際的な地図展として注目されています。地図にすべきテーマについて聞くと「どんなものでもいいんです」と氷見山さん。「事前に結末を予想して進める場合もありますが、想定していないところから思わぬテーマが拾えることもあります。だからまずは外に出て、自分の足で歩いてみることです」。
実際この10月に行われた作品展では、植物の気孔と交通量の関係に着目したものや旭川市内にある神社の位置関係の謎に迫ったものなど様々な力作が見られました。過去には、目に見えない「周辺の音」をテーマにしたものもあったそう。氷見山さんは「冬のテーマは競争相手が少ないから、入賞の可能性が高いかも」と茶目っ気たっぷり。完成したらぜひ来年の環境地図展に応募してみては。
【国語】脳内フィールドを広げる読書のちから
実際に体験できないことでも、本の中では自由自在。想像力を羽ばたかせれば、縦横無尽に脳内のフィールドを広げられます。たとえば学校生活や友人関係に悩んでいる子には、こんな本がヒントをくれるかもしれません。
ひとつは農場に暮らし、国民と同じつつましい生活を送るウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領のスピーチを基にした「世界を動かすことば」(角川つばさ文庫)。共感、反発、理解など人間関係の複雑さを感じる思春期の主人公・ユウトの成長にのせて、ムヒカ氏の心豊かなメッセージを伝えます。世界の国々にも目を広げるきっかけになるかもしれません。
もう一冊は「ぐるぐるの図書室」(講談社)。放課後、5人の小学生が図書室である女性から「今のあなたにぴったりの本」を薦められます。それぞれがひそかに抱える心のもやもやに、本の中の不思議な世界で向き合います。読後、前向きな気持ちになれる作品です。
「本にはそれぞれにメッセージが込められています。たくさんの本に触れてみてください。こんな本が読みたいな、など本を探したい時は、私たちがお手伝いします」と旭川市中央図書館の奉仕係・川尻貴子さん。
【音楽】テケテケテケテケ♪たった二日でギタリスト
- 授業では習わないエレキギター。弾けたら友だちにちょっと自慢できそう
学校ではなかなかできない音楽経験を提案するのは、市内で音楽教室を展開するヤマハミュージックリテイリング旭川。この冬初めて実施するジュニアスクール「ギターで1曲チャレンジ」では、60分2回のレッスンで「夢をかなえてドラえもん」のエレキギター演奏に挑戦します。ギターは貸し出しもあり、楽譜が読めなくてももちろんOK、専用の伴奏音源に合わせて演奏すれば、初日にもギタリスト気分を味わえそうです。
「今回はギターですが、入り口はどんな楽器でもいいと思います。1曲弾けたという達成感を味わって楽しいと感じてもらえれば、音楽の世界は広がるはず」と同店の甲斐三保子さんは話します。日程は1月6日(土)と20日(土)の午前11時から。レッスン料は2回で3240円。
【図工】無限の創造力を形にさあ君もダンボーラー
- グルーガンで模様づけした作品や、カラースポンジで仕上げた立体作品
年末の買い出しや大掃除、お歳暮などで不要になったダンボール、潰すのはちょっと待って。こどものアート教室「アトリエ凸凹(デコボコ)」を主宰するアッコモンさんによると、「ダンボールは工作に最高の材料」なんです。
扱いやすく、カット、折り、曲げが簡単にできるので加工が簡単。またコストが気にならないので、失敗を恐れずチャレンジできるのも良いところです。「まずは頭の中にある作りたいものを紙に描いて。恐竜を作りたいならどんな形でどんな色か、イメージをスケッチします。そして必要な材料や道具を揃えてから取り組むとスムーズですよ」。アトリエではダンボールをベースに、スポンジや発泡スチロール、紙粘土などを組み合わせています。
接着には、グルーガン(やけどに注意)を使うのがアッコモンさん流。棒状の接着剤を専用の機材で溶かして使用するもので、剥がれにくく強度も抜群。好きな模様を描いて冷ますと立体的に固まるため、上からポスカやアクリル絵の具で色づけして作品のアクセントにする裏ワザも楽しめます。
「ダンボールは好きな形に切り出したり、丸めて重ねてくっつけて立体作品を作ったりと、可能性無限大」とアッコモンさんも太鼓判。ガンを片手に挑めダンボール戦士たち!
ニガテななにかを克服する、それとも得意ななにかをさらに伸ばす―長い冬休み、どんな出会いが子供たちを成長させるでしょうか。楽しみいっぱいの町に繰り出そう!
【取材協力】
旭川将棋会館(旭川市住吉5条通2丁目)、旭川市科学館「サイパル」(旭川市宮前1条通3丁目)、環境地図教育研究会(道教大旭川校地理学教室内)、旭川市中央図書館(旭川市常磐公園)、ヤマハミュージックリテイリング旭川(旭川市4条通8丁目)、アトリエ凸凹(旭川市6条通8丁目)