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雪解けが進み、ほんのりと土の香りを感じる季節になりました。3月中は自宅で過ごす人も多かったことと思います。人との接触が少ない野山で北海道の短い春を味わいませんか?
北上する水鳥、山間ではさえずりも
旭川市内でこの時期に野鳥を観察するなら永山新川がおすすめです。2004年にできた人工河川で、現在ではその緩やかな流れに数多くの水鳥が羽を休めるようになりました。特にこの季節は南方で越冬した渡り鳥が北上の最盛期を迎えているため、多いときには数万羽が水面を賑わせます。
中でも目を引くのがオオハクチョウとコハクチョウです。特に羽を広げると2メートル以上にもなるオオハクチョウが羽ばたき、大きな鳴き声を発しながらVの字に隊列を組んで飛翔する様子は圧巻。日中は餌を求めて近隣の田へ飛んでいってしまうため、観察するなら早朝か夕方が良いでしょう。
逆に日中でも観察しやすいのがカモです。そのほとんどがお馴染みのマガモですが、オナガガモやヒドリガモ、コガモ、キンクロハジロ、カルガモなども見られます。カルガモ以外のカモは基本的に雄のほうが色鮮やかなので、性別が見分けやすいのも特徴です。
一方、神楽岡公園や旭山公園などの森林環境下でも、春になると昆虫などのエサが豊富になるため野鳥の活動が活発になります。初心者でも比較的見つけやすいのがシジュウカラ、ゴジュウカラなどのカラ類、アカゲラやコゲラなどのキツツキ類です。
山間部の野鳥はかわいらしい鳴き声も魅力のひとつです。求愛や縄張り争いのための「さえずり」、仲間との連絡などに使う「地鳴き」を見事に使い分けます。またキツツキ類は、縄張りをアピールする目的で音の出やすい枯れ木などをくちばしで激しくたたく「ドラミング」が見られるのもこの季節ならではです。
大地を埋め尽くす群落
春の芽吹きで一斉に大地を覆う雪に代わって、大地を鮮やかに埋め尽くすのは野草の群落です。北国に暮らす私たちにとって、庭植えの草花とはまた違う、自然の力強さを感じる存在です。
旭川市と比布町をまたぐ突哨山(とっしょうざん)の南端に位置する男山自然公園では、例年4月末から5月の初旬に道内最大級のカタクリの群落がみられます。うつむきがちに開く紫の花は非常に可憐。天気がいいと遠くに大雪山連峰、眼下には石狩川を望めるとあって、毎年多くの人が春の息吹を感じようと散策に訪れます。このカタクリの間を埋めるように、淡い青やピンク、紫色が複雑なグラデーションを作るエゾエンゴサクとの共演(写真③)も見ものです。北海道ではカタクリを好む人が多いですが、こちらは倉本聰さんのテレビドラマ「風のガーデン」で注目されたこともあって、とくに本州の人たちから人気です。
北方系の植物を多く見たいなら旭川市の北西にある嵐山の北邦野草園へ。およそ13ヘクタールの敷地の中で、開拓前の豊かな森林植物の保護や育成のため、自生種を中心におよそ600種もの植物を展示しています。とはいえ、とくに肥料も与えず、ほぼ野生の状態。カタクリやエゾエンゴサクはもちろん、元気な黄色のフクジュソウ、清楚なニリンソウ、湿地に咲くミズバショウ、美しい純白のオオバナノエンレイソウが次々と咲き誇り、目を楽しませてくれます。
観察するなら持っていこう♪
●双眼鏡/虫眼鏡
●長靴
●野鳥図鑑
●野草図鑑
取材協力
●日本野鳥の会旭川支部長 柳田和美さん/写真提供 同支部 川村靖さん
●旭川市北邦野草園園長 堀江健二さん
※3月末執筆。暖冬の影響で渡り鳥の北上や野草の開花が早まっている場合があります
※愛らしい鳥たち、草花たちですが、あくまでも野生の存在。餌付け・摘み取りは厳禁です。ルールを守って観察しましょう