内容のー部もしくは全部が変更されてる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
- ラベルも華やかな「さくらにごり」(720ml・2200円)。1200本の限定醸造ににつき、購入はお早めに
- 三千櫻酒蔵は社長の山田夫妻、同じく杜氏の安藤宏幸さん夫妻、蔵人の佐藤栄蔵さんの5人で切り盛りする、小さくも歴史の深い酒蔵です
昨秋に岐阜県中津川市から東川町に移転開業した老舗酒蔵会社「三千櫻酒蔵」(東川町西2号北23)が、新しい季節の到来にふさわしい新酒「さくらにごり」を発売しました。
同社は1877年(明治10年)に創業。築100年を超える蔵の老朽化や、温暖化の影響で酒造りの肝となる麹の温度管理が難しくなってきたことなどから、自社の味を守るため3年ほど前から移転先を模索していました。折よく、天然の地下水が育む良質な米どころとして知られる東川町が公設民営型の酒蔵の建設を計画しているという情報が舞い込んできます。これは町が用意する酒蔵で、民間のメーカーが酒造りを担うというユニークな手法。両者の望みが奇跡のように合致して誕生したのがこの酒蔵でした。
酒米には昨秋のうちにJAひがしかわの有志が栽培した「彗星(すいせい)」「きたしずく」をはじめ東川産米を7割ほど、ほかにも中津川時代から大切に使ってきた「愛山(あいやま)」、福井の「九頭竜」も使用しています。6代目当主で杜氏の山田耕司さんは「米は原料を移動できるのがいいところ。地産地消にこだわりすぎず、良いものを使っていきたい」と話します。
東川産の酒米について、「これまで使ってきた米より少し硬く、水を吸いにくい印象でしたね」と山田さん。そこで米本来の旨味を最大限に引き出せるよう、浸漬時間をこれまでより長くとることに。さらに東川の水は岐阜に比べてミネラルが豊富で硬度が高く、アルコールが乗りやすい特徴があることから、発酵具合をこまめに確認するなど培った経験を元に丁寧に調整を加えました。山田さんは「いい米を作ってもらった。大丈夫、あとは僕らの腕次第だよ!」といたずらっ子のような笑顔を見せます。
目指す味わいについて尋ねると、「米の旨みを感じる優しくきれいな味」とのこと。言葉通り、年明けから次々と発売された酒は、口に含むと華やかな香りと甘みのあとに、やわらかな余韻が上品に広がります。
今回登場した「さくらにごり」は、中津川時代からこの季節にだけ製造してきた微発泡の純米にごり酒。アルコール度数は8%と軽く、甘口かつフルーティーな香りで、春らしい爽やかな飲み口が魅力です。北海道では桜はまだもう少し先ですが、「僕らのお酒で、ひと足早い春を味わって」と山田さん。ショップの営業は4月1日から(午前10時から午後3時。水曜定休・ほか不定休)。商品の問い合わせは酒蔵(☎0166-82-6631)へ。