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上川エリアにある5つの酒蔵の代表者と、5蔵全ての酒を扱う酒屋の社長が「上川の日本酒」について、ざっくばらんに語らいました。
良い日本酒はやっぱりおいしい
男山株式会社 山崎 五良さん
上川エリアで一番の歴史を持つ、言わずと知れた酒蔵の5代目
日本酒は、造るのも飲むのも大っ好き
上川大雪酒造株式会社 川端 慎治さん
全道各地を飛び回り、大学講師も務める副社長兼総杜氏
若い人にも日本酒の魅力を伝えたい
高砂酒造株式会社 森本 良久さん
全国的に人気の高い国士無双などを監修する執行役員兼杜氏
北海道はブルーオーシャン
三千櫻酒造株式会社 山田 耕司さん
岐阜県中津川で143年の歴史を歩み、2020年に東川町へ。代表兼杜氏
上川エリアは米も水も抜群
合同酒精株式会社 井上 允陽さん
看板酒・大雪乃蔵などを手掛ける、旭川工場製造部門のリーダー
どの蔵もそれぞれ良さがある
株式会社うえ田 上田 桂輔さん
5蔵全ての酒を扱う買物公園沿いにある酒屋の代表。角打ちスペースも人気
普段の僕らの飲み方
山田さん: 実は下戸だから、家や店で飲むことはあまりしないんだ。
井上さん: 僕もお酒すごく弱いです。
川端さん: 僕は学生時代から浴びるように飲むほど大好きです(笑)。
山崎さん: 川端さん、よく浴びるほど飲んで嫌いにならなかったですね(笑)。日本酒ってピンキリだから、僕は学生時代に飲んでいた安い日本酒のイメージが強くて苦手だったんですよ。でも大人になって本当においしい日本酒と出合い、価値観が変わりましたね。
森本さん: 僕も働いてから、日本酒が特に好きになったな。でも山田さんや井上さんのように、酒蔵で働いていても、アルコールが苦手な人って結構いるよね。
川端さん: ところでさ、どんな食べ物と合わせたらいいですか?ってよく聞かれない?いつも返答に困っちゃうんだけど(笑)。
一同: 困る!!
山崎さん: …と、言いながらもうちは寿司と呑むための新作を造りましたけどね!(笑)でも僕、刺身の時は絶対日本酒と決めているんですよね。なんかビールではないなって。
川端さん: わかる。刺身は絶対日本酒だよね。
井上さん: 僕は家で飲む時は、松前漬けを電子レンジで少しだけ温めてつまみにします。
森本さん: あとチーズもあうよね。
上田さん: 逆に日本酒って合わないもの少なくないですか?本当にオールマイティだから、いろんな食べ物と合わせて飲みたくなりますよね。
川端さん: 店で飲むなら、ぎんねこの鳩燗(※1)で、特別に男山さんの「生酛純米」をいただくのが大好き。店の雰囲気とあの味が最高だよ。
※1 名前の通り、鳩のような形をした酒を燗するための入れ物。炭火の上に置いて急激に温めるぎんねこの名物のひとつ
山崎さん: それは嬉しいですね。ありがとうございます!
森本さん: でもさ、作り手としては「こんな飲み方をして」と限定したくないのが本音だよね。それぞれがいろんなお酒を造っているから、絶対に好みの味が見つかるはず。だからまずは好きなお酒を見つけてほしいな。
上田さん: そんな時、ぜひうちの角打ちを利用して欲しいですね。まだまだ知られていない銘酒がたくさんある。少しずつ飲み比べて、お気に入りを見つけて、お土産にして帰るお客さんを見ると嬉しくなりますよ。見つけてもらえた~!って。
山田さん: 日本酒っていろんな味があるから、本当に奥が深くて面白いよね。
井上さん: 原料となる水と米、旭川には2つとも揃っているのが強みですよね。
森本さん: 上川大雪酒造さんや三千櫻さんが上川エリアで始めたのも、やっぱりおいしい水と米があるから?
川端さん: 上川町とご縁があった、というのも大きな理由ですけど、特に水には惚れていますね。日本酒は8割が水ですからね!ちなみに上川町産のミネラルウォーター「ゆきのみず」は、道内で2番目に売れているほど人気なんだってさ。
山田さん: うちも町と縁があった、というのもあるけれど、東川は米と大雪山からの水が有名な土地。だけど日本酒がない。それなら造ろうと、岐阜から移ってきたんだよ。
井上さん: 北海道は岐阜に比べて酒造りしやすい環境ですか?
山田さん: そうだね、中硬水だから造りやすい。岐阜は超軟水だから難しいんだ。あとは寒い環境というのも日本酒造りに適しているよ。
山崎さん: 全国的にどんどん酒蔵が減っていく中、北海道だけ増えているのも異例ですよね。それも上川エリアに集中して。それだけで、まだまだ可能性を感じちゃうな~。
山田さん: 僕は北海道をブルーオーシャン(※2)だと思っているよ。だって、岐阜は北海道の半分以下の面積で、人口も少ないのに50以上の蔵があったからね。
※2 未開拓で競争相手のいない市場
川端さん: うちができるまで、道内には11蔵しかなかったですもんね。そして道民の日本酒消費量のうち、道産の日本酒はたったの16%。…いや~、伸びしろがあるね。
上田さん: 店に立っていると、上川大雪酒造さんと三千櫻さんが増えたことで、県外からもより注目されるようになったと実感します。観光客の方に、〇〇の酒蔵は~って聞かれますもん。
森本さん: 原料の話をすると、もともと道外の米を使って酒造りしていた会社も多かったけれど、今は道内での北海道米のシェアは60%以上。蔵によっては道産米しか使わないところもあるよね。
井上さん: 米も水も正真正銘の北海道産。まずは道民の、そして上川エリアのみなさんに僕らの酒を飲んで欲しいですね。
上田さん: うちの店に来るのは6割が女性です。あとは30代のご夫婦とか、若い方に利用していただくことが多いですね。
森本さん: 言われてみれば酒蔵見学に来るのも女性が多いです。
山田さん: うちは女子が手に取りやすい日本酒を造っているよ。だからパッケージもかなりこだわっている。
上田さん: 確かに三千櫻さんのパッケージは女性たちのテンション上がりますね。そして味も。
井上さん: うちも女性も手に取りやすいように、ワインを思わせる日本酒を3種類展開していますね。
川端さん: でもきっと昔から日本酒好きの女性って結構いましたよね。上川町のご婦人方も、僕らの酒をおいしいって飲んでくれています。
山崎さん: 単純に日本酒愛好家が減っていて、女性が目立つようになったのかな?
井上さん: 日本酒を飲む人口が減っているのは、本当に実感します。年齢が上がると、どうしても飲める量も減りますもんね。ちなみに若い方に飲んでもらうために、各社さん何かされていますか?
川端さん: うちは道内の大学でゼミを開講したり、学生に酒造りから製品化までを体験してもらっているよ。ほかにも講義を受け持っているのだけれど、びっくりすることがあるんだ。講義後にレポートを出してもらうと、半数以上が「お酒は体に悪いものだと思っていましたが」って書き出しから始まるんだ。
井上さん: お酒ってそんなイメージなんだぁ…。
川端さん: でも、講義や酒造りを通して、みんな日本酒の価値観が変わっていくんだ。嬉しいよね。
森本さん: うちは高校生と一緒に酒造りをして2年目。未成年だからお酒は飲めないんだけど、自分が造った日本酒を家族がおいしいって飲んでくれた、自分も飲めるようになるのが楽しみって言ってくれたりする。やりがいを感じる瞬間だよね。
山崎さん: 高砂酒造さんは若蔵シリーズもやられていますよね?
森本さん: そうそう、若手の社員が同世代に飲んで欲しい日本酒をつくる企画ね。ワイン酵母を使った日本酒とか、毎年面白い一本が出来上がるからお客様からも好評だよ。
川端さん: 若い人が造るのはやりがいがあって本当に良い企画ですよね。
山崎さん: 僕、若蔵シリーズ好きなんだよな~。毎年楽しみにしている一人です。
森本さん: そう言っていただけると、若い社員たちも喜びます。
山田さん: とにかく自分たちは「うまい酒」を造り続けることが大事だね。
上田さん: 酒屋として、みなさんのお酒の魅力を消費者の方に届けていきますね!
会場/和酒角打 うえ田舎(旭川市4条通8丁目)
【家で飲むなら】年末年始の手みやげ一本
①男山
若手すし職人が加盟する、北海道鮨商生活衛生同業組合青年部と共同開発した「すしと呑む」ための一本。どのネタの特徴も邪魔せず、上品に引き立ててくれる味わいです。
②高砂酒造
柑橘系の爽やかな香りと、旨み&コクのバランスが良い、同社の看板商品。北海道産きたしずく100%の北海道らしい純米吟醸酒です。やや辛口なので、冷やか常温がおすすめ。
③オエノングループ 合同酒精
すっきりとした淡麗な味わいの大吟醸酒。果実のような華やかな香りは、和食はもちろん洋食とも相性よし。ぜひ、ワイングラスで香りを楽しみながら飲んでみて。
④上川大雪酒造
「これ、本当に日本酒なの?!」を狙った、攻めの一本。道産酒米を代表する「吟風」の5割磨きと焼酎用の糀などをあわせて仕込み、絞った後に熟成させます。玄人にこそ飲んで欲しい!
⑤三千櫻酒造
酒米のダイヤモンドと呼ばれる「愛山」だけを使った清酒。シャンパンのような甘みがあり、上品で優しい味わい。桜色の化粧箱入りで、女性ウケの良さも間違いなしです。