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- 現在の旧白銀荘の様子(作家提供)。これらの窓4面とライトボックス2面に作品を展示しています
- 今回展示されている作品の一つ。花や茎、葉を巧みに配置して、雪の結晶が美しく踊るワンシーンを描いています
鮮やかなブルーを背景に、光に透けて浮かび上がる雪の結晶。近づくと、それは一つひとつ異なる植物たちが形づくるものとわかります。旭川市出身・在住のアーティスト、齋藤玄輔さんによる手刷り版画の作品展「冬の華」が、ふだんは一般公開していない旧白銀荘(上富良野町吹上)で9月29日(金)まで開かれています。
齋藤さんの作品は、自宅の庭や出先などで出合う、その地に自生する植物を押し花にした版から作られます。「虫食いのあともかえっておもしろく、唯一無二の形が得られます」と齋藤さん。版の上にカーボン紙を乗せてインク面を柔らかな綿で少しずつ削り落とし、これに裏から光をあてて透過することで幻想的な植物たちのすがたを浮かび上がらせます。
この独特な製法は、カーボン紙で作品づくりをしていた際に「日に透かすときれいだな。なにかに使えないか」と思い立ったことから生まれました。押し花にはツクシやブロッコリー、ブドウの葉など身近な植物を使用。「初期はとくに小さな植物に興味がありました。どんなに小さくても構造がしっかりしている。その様子を写し取りたかった」と振り返ります。
会場となる旧白銀荘は、昭和初期に物理学者の中谷宇吉郎博士が雪の結晶の研究のためにたびたび訪れた場所です。通常は公開していませんが、上富良野町・上富良野十勝岳山岳会の協力を得て特別に使用が叶いました。
齋藤さんは今回、この場所からインスピレーションを得て、植物で雪の結晶をイメージした作品を作り上げています。タンポポの綿毛など押し花にするのが難しい植物も取り入れ、繊細な結晶の枝を表現。朝日とともに浮かび上がり、夕方から夜にかけて徐々に消えていく、まさに結晶のようにはかなくドラマチックな作品たち。齋藤さんは「ぜひこの会場の雰囲気と合わせてご覧いただけたら」と呼びかけています。
観覧無料。作家が在廊する日もありますが、施錠している場合もあるため予約がおすすめです。隣接する「吹上温泉保養センター 白銀荘」でも対応可。問い合わせは齋藤さん( gensuke.ex@gmail.com )へ。