内容のー部もしくは全部が変更されてる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
- この土地の風土と人類のルーツを音楽に昇華させた「マインド・ジャズ」について語る佐々木さん
旭川在住の音楽家、佐々木義生さんがライフワークとする「マインド・ジャズ」の集大成となるコンサートが、11月3日(金祝)午後5時から旭川市大雪クリスタルホール音楽堂(旭川市神楽3条7丁目)で開かれます。同ホールの開館30周年記念公演。
20代のころ、東京のライブハウスでプロとして演奏活動をしていた佐々木さんは、詩人で劇作家の寺山修司が主宰する日本の代表的なアングラ劇団「天井桟敷」に参加。芝居に合わせた生演奏はすべて即興で、現場はいつも異常なまでの緊張感にあふれていました。見たことのない外国の民族楽器を演奏したこともあります。この時の経験が、ジャズ奏者や作曲家としての幅を広げることになりました。
ある時、ジャズ評論家でもあった寺山さんから「君のジャズは、どんなのだい?」と問われ、すぐに返答することができませんでした。「ジャズはアメリカ発祥。だからアメリカに学ぶのが、ジャズの道」と考えていた佐々木さんは、寺山さんの言葉を受け、自身のジャズを探すために故郷の北海道に拠点を移します。
幼少期、木こりの父と二人で山暮らしをしていた佐々木さんは小学校に上がるまで人と接する機会がありませんでした。小学校では人に馴染めず心を閉ざしていましたが、中学校で音楽と出合い、マイルス・デイヴィスなどの自由な即興演奏のモダンジャズを聴くようになります。佐々木さんにとって、音楽はコミュニケーションと表現の手段でもありました。1995年から20年間音楽監督を務めた「ジャズマンス・イン・旭川」で、音楽を通じた障害児の情操教育に取り組んだのも、こうした背景があります。
佐々木さんは、マインド・ジャズを「風土から生まれるジャズ」と説明します。風土はその土地のルーツであり、ジャズは日々の生活。旭川の歴史や風土を探ると、アイヌ文化や海を越えてアジアやロシアまでつながることに気付きます。ここ数年は民族や国境、人種を超えた組曲「アジアン・ジャズ」の創作にも打ち込みました。「それもマインド・ジャズへの道程のひとつだった」と振り返ります。幼少期に森で感じた死への恐怖から、生きることの意味を問うメッセージも込めました。
コンサートでは佐々木さんと交流のある国内外の一流奏者をゲストに迎え、半生をかけて追及し、たどりついたマインド・ジャズの世界を繰り広げます。
佐々木さんは「すべての経験が今につながっている。四季の変化や森の匂い、音を感じると、幼少のころと同じ心象風景がよみがえります。自分はこの土地でどう育まれたのか、人間はどこから来たのか、その歴史を絵巻のように語り継ぐ音楽会にしたい」と話しています。
チケットは全席自由で一般5000円、学生・ハートフル3000円(当日各500円増し)。市内大型書店や同ホール売店で扱っています。問い合わせは村田さん(TEL:0166-22-3567)へ。