内容のー部もしくは全部が変更されてる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
生活になくてはならないものかと言われると、そうじゃない。
でも、絵を描いたり歌をうたったり
なにかを表現することは誰もが持つ欲求のひとつ。
紹介するのは、旭川で活躍する5人の若手アーティストたち。
いま注目のデジタルアート 想像力を掻き立てる“物語の途中”
丸みを帯びたやわらかなタッチで描かれる世界は、どれも優しさに満ち溢れたものばかり。「ひらがなみたいな絵を描きたい」とのコンセプト通り、キャッチーでゆるみのある色使いやフォルムが魅力。一方、細部まで描き込まれた情報量からは、その前後を想像させる余白や深みを感じます。イギリスへ留学していた大学2年生の時に、友人のスケッチを見て、幼少の頃に好きだった絵を改めて描き始めました。鉛筆画や水彩画を経て、人と違うことをしたいとの理由からタブレットでの制作に行きついたといいます。日本のアニメやSF、宇宙、スチームパンクなど、大量にインプットしたものを咀嚼して生み出される物語のワンシーン。固くなった頭もほぐされ、情景まで浮かぶような引力に惹きつけられるはず。
みずまさすぐる
デジタルアート/アニメーション
1996年生まれ。旭川市内のビアバー「HUG」で働きながら活動。買物公園通りにある秘密基地で、日夜制作に明け暮れる。HUGではクリアファイルやステッカーなどを販売しているほか、オーダーも受付中
Instagram:@art_tride
ユーモラスな彩りを散りばめて 日常に、非日常のエッセンス
銅板に色の付いたガラスの粉を乗せ、高温で焼き上げて作る七宝焼きは、古来より伝わる伝統工芸です。何層にも色を重ねて、焼いてを繰り返すことで、表面は丸くふくらみのある質感に。窯から出した直後、熱を帯びつつ光り輝く一瞬を経て、生命力やエネルギーを凝縮したかのように、いつまでも色褪せることなく愛用できるのが魅力です。月やいちご、ミジンコに心臓、音楽などのカルチャーといった無形のものまで、モチーフはどれもユニーク。それぞれに意味があり、新作のダイヤモンドには、柔軟に生きつつもダイヤのような強い芯と輝きを持っていたいという思いが込められています。カラフルでポップ、だけどどこかシュールなブローチやアクセサリー。一見脈絡のないラインアップは、自身のブレない信念と美学によって一本に繋がっていました。
さとうゆうき
七宝焼き
1987年生まれ。札幌芸術の森でアシスタントとして働いた時が七宝焼きとの出会い。敬愛するバンド、カルチャークラブのボーイ・ジョージに買ってもらうのが目標。来春には自宅兼工房に、ワークショップができるスペースを開設予定。作品はWEBショップで購入可能
ホームページ:https://www.youkisatoh.com/
オンラインショップ:https://youkisatoh.official.ec/
Instagram:@youkisatoh
暮らしに溶け込む伝統文化 描くのは、陽だまりのような温もり
幼い頃に見た尾形光琳の「燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)」に魅せられ、大学で基礎から日本画を学びました。木板に張り付けた和紙に、動物の皮膚や骨から抽出した「にかわ」と、土や岩などから作られる天然の色素を混ぜ合わせて描きます。ほっと心が落ち着くような安らげるものを描きたいと、モチーフは植物や動物が中心。塗り重ねることで生まれる特有の立体感と、一本一本緻密に描かれるふわふわの毛並みに、まるでそこにいるかのような錯覚すら覚えます。少しでも多くの人に日本画の魅力を知ってほしいと、旭山動物園や上野ファームなど、市民に馴染みのある場所でテーマを探すという合田さん。実際に見て、感じた空気感も筆に込め、温度まで伝わってくるような作品のあたたかさに触れてみて。
合田名津紀
日本画
1995年生まれ。桜の木を描いた大学の卒業制作が、昨年の新ロマン派美術協会主催の公募展で旭川市長賞を獲得。制作時のBGMはロックやヒップホップというまさかのギャップも。いつか屏風絵を描くことが目標
Instagram:@gonchizm66
キャンバスから伝播する想いと愛でぬりつぶす余計な隔たり
スーツを着て颯爽と歩いていたり、パジャマを着て歯磨きをしていたりと、人間の身体をしたネコが印象的な作品の数々。性別も人種も、生物としての垣根すらも超え、誰もが個性を尊重し合えるような理想の姿をテーマに描いています。物心ついた時から、自身が伝えたいことを絵で表現しているというtukipamさん。中学生の時には今の作風を確立し、より多くの人に伝えるために腕を磨いてきました。自由に活動を続けながら、絵を介した出会いをきっかけに、数年前からはお店のロゴやアートワーク、メニュー表の制作などの仕事も受けるように。〝伝えたい〟という強い想いは、クライアントの要望を繊細に汲み取り、人に伝えるための作品作りへと繋がります。他者を愛し、自分も愛する。当たり前だけど忘れがちな、大切なことを思い出させてくれます。
tukipam
イラスト
1998年生まれ。ふとテーマが降りてきて、忙しい仕事中にも絵のことを考えてしまうこともしばしば。チョコレートで描くお祝いプレートは、毎日予約が入るほどの人気ぶり。ポストカードやバッグなどのグッズも店内で販売中
Instagram:@tukipam
レトロでモダンな木彫りの動物 温かさを纏った素朴な風合い
曲線で描く愛らしいフォルムの動物たち。つい手に取って触りたくなるような、彫り跡のないなめらかな肌触りは、手作業で丁寧に仕上げているからこそ。高校卒業後に働いた家具屋さんを辞めたあとも、ものづくりへの情熱は冷めやらず、趣味で彫刻をはじめました。付き合いのあった市内の古着屋樊摛(パンチ)の店主から、お店で販売しないかとの誘いを受け、本格的に作品作りをスタート。ヴィンテージ雑貨のような空気感を意識した、リアルに寄せ過ぎないバランス感が絶妙です。材質の違いと木目の模様を活かしたデザインで、オイル塗装のみで質感もピュアなまま。時間とともに味が出てくるような、長く付き合える作品です。「ゆくゆくはヴィンテージとして残るようなものを作りたい」と、今日も制作に打ち込んでいます。
神田だいすけ
木彫
2000年生まれ。パン屋さんで働きながら、自宅アパートの一室で静かに作品作りをしている。リクエストやオーダーも受け付けており、今後は動物以外のものや抽象彫刻への挑戦にも意欲を見せる
Instagram:@kanda__1216