- 「北京・上川離宮物語」を出版した昇夢虹の西嶋代表(右)と原画を手にする小川さん(左)
上川神社が建つ神楽岡の丘陵地を天皇陛下の離宮にする計画の史実を描いた歴史ファンタジー漫画「北京(ほっきょう)・上川離宮物語」が出版されました。11月16日(土)~18日(月)には旭川デザインギャラリー(旭川市宮下11丁目、蔵囲夢)で出版記念原画展が開かれます。
出版したのは旭川のデザイン会社・昇夢虹(しょうむこう)。同社代表の西嶋美代子さんが原作、イラストレーターの小川けんいちさんが作画を担当しました。
制作することになったのは、西嶋さんが上川神社の宮司から離宮計画の歴史を聞いたのがきっかけ。「天皇陛下の宮殿を作るというすごい史実を多くの人に知ってほしい」と感じた西嶋さんは、幅広い世代に伝えるため、親しみやすい漫画にしようと考えました。
取材は、旭川市史や戦前の文書などの資料集めから始めました。離宮の建設計画地調査の資料を探しに東京の国立公文書館も訪問しました。歴史的背景や難解な言葉を理解して分かりやすくかみ砕き、半年かけてシナリオを完成させました。
物語は現代の神楽岡に住む家族の子供たちが時空を超えて、北海道庁初代長官の岩村通俊と2代目長官の永山武四郎と出会い、近文山から上川原野を視察して開拓の歴史が始まった場面などが描かれます。北海道開拓は内陸から四方に広げるべき、その拠点は上川原野が最適との政府への報告は、やがて「北京計画」「上川離宮計画」へと発展したことを子供たちは知ります。
岩村、永山が夢見た離宮計画を現代の人たちに伝えてほしい。そう託された子供たちは、強い使命感を胸に現代へと帰ってきます。
作画にあたって小川さんは「史実にファンタジーを組み合わせて、楽しく読んでもらえるよう工夫しました」と語ります。
西嶋さんは「開拓期の壮大な夢にふれて、現代を生きる私たちも頑張れ!と背中を押してもらった気がして、勇気が湧いてきました。誇るべき地域の歴史を多くの人に知ってほしい」と話しています。
A5判112ページ。1000円。旭川市内の大型書店でなどで販売しています。
原画展は午前10時~午後5時(最終日は3時)まで。期間中は午後1時から漫画ができるまでのお話があります。入場無料。問い合わせは同社(TEL:0166-76-1697)へ。