苦しいときは一緒にいよう
若年女性に居場所提供

居場所がない若年女性の支援を行う任意団体「NO LIMIT 旭川」。代表のYuki(ゆうき)さんは、昨年11月に団体を立ち上げて以来、家庭内でのDVや虐待、学校や職場でのいじめや嫌がらせなど、さまざまな事情で苦しむ10代後半から20代までの女性の居場所づくりに力を注いでいます。

YukiさんはSNSや夜回りで呼びかけては、定期的に自宅を開放し、安心して寝られる場所や食事、衣類、衛生用品を無償提供したり、無料通話アプリ「LINE」で相談にのったりと、悩める女性の心に寄り添っています。「専門的なカウンセリングはできませんが、同じ時間を共有することで、彼女たちの気持ちや孤独感が少しでも軽くなれば。悩みは無理に打ち明けてくれなくてもいいんです」と話します。

Yukiさん自身も家庭環境から不登校の経験があり、苦学の末に大学を卒業してから、地元の旭川でこの支援活動を始めました。Yukiさんの元にはこれまで16～29歳の、様々な事情を抱えた女性が訪れています。繊細な年頃で不安を感じやすいけれど、気軽に相談もできない―そうした葛藤に苦しむ若い女性は多く、依頼は市外や道外からも寄せられます。

夜間にはたびたび中心部で見回りを行いますが、「悩みを抱えた女の子を見つけるのは難しい」とYukiさん。都心部に比べると24時間営業の店が少なく気温も低い旭川では、夜に出歩く若い女性はあまり目につきません。しかし「姿が見えないだけで、助けを求めている人はたくさんいます。彼女たちの心の逃げ場になる居場所づくりはいつだって必要」と力説。「とくに虐待やDVについて、幼い頃からそれが普通だった、友達の家もそうだから、などと我慢している女性は、旭川にも驚くほどいるんです」と話します。

今後は、短中期的な避難ができるアパートの開放や、飲食店を利用した新たな居場所づくりも検討しています。現在のところ、団体で使用する物資は支援者からの寄付でまかなわれており、資金を募るためにクラウドファンディングにも挑戦中。相談や支援は、同団体のホームページから問い合わせを。