10代の修道院生活の日々
みずみずしい感性で

絵本作家、画家、エッセイストなど幅広い分野で活躍するおのちよ(小野千世)さんの原画展が、3月16日(木)から21日(火・祝)に旭川市民ギャラリー(旭川市宮下通11丁目、蔵囲夢内)で開かれます。

小野さんは東京の宝生流シテ方能楽師・近藤礼さんの次女として生まれました。小学生だった1945年3月、東京空襲に遭い、能舞台のあった家が焼失。この時、13歳の兄が目の前で亡くなる悲劇に見舞われました。兄の死は、作家になったおのさんの作品にも影響を与えています。

能楽の縁を頼って、一家で北海道に疎開した後、体を崩した小野さんは札幌の修道院で1年間を過ごしました。米寿を迎える節目の昨年、出版された「花と木沓(サボ)」(幻冬舎)は、修道院時代に描いた水彩画や文章をまとめたもので、祈りのある生活と厳しくも豊かな自然を16歳ならではのみずみずしい感性で描いています。

原画展では、「花と木沓」をはじめ、「こたんころかむい」、「おたすけねこさん」、「かわ」など、代表作の中から38点を展示。繊細な線とにじむような色彩が美しい、詩情豊かな作品が並びます。15日(水)午後2時からは、小野さんのトークショーと、小野さん夫妻が琉球舞を披露する特別企画(60席限定で、参加料3000円)もあります。

主催のギャラリーコスモス代表の村田和子さんは「修道院の日常を10代の視点で観察したやわらかな感性と、独特のユーモアを感じる作品を旭川の人にも見てほしい」と話しています。原画展は入場無料。問い合わせは村田さん(TEL：080-5581-3567)へ。