大人になってしみじみ思う。
酒っていいな~。
肴も年々しっぽり系に。
今はこういうラインナップを愛しています。
しっとり品よく行儀よく
深めの小鉢にちょいっと盛られた桜色。舌にとろりと広がるワタの風味は角なくまろやかで、アテとして理想的な塩味(えんみ)と確かな熟成感があります。酒で流せばあと腐れなくすっと消えるから、またすぐに次のひと口を追いかけたくなるにくいやつです。
こってりドピンクタイプも大好きだけど、ときにはこんな行儀のいいコで一杯いきたい。合わせるなら、米の優しい甘みと心地よいガス感のうえ田舎オリジナル生酒「このミチをいけば…」。塩辛380円。
和酒角打 うえ田舎
旭川市4条通8丁目 買物公園
Tel 0166-25-8222
13時~21時
月~水曜定休
え?カニ殻 そのまま?
有明海沿岸の郷土料理・蟹(がん)漬け450円。下処理したシオマネキ(カニ)を丸ごと粗くすりつぶして塩や唐辛子と熟成させた塩辛の一種。佐賀の銘酒を提供していた縁で同地の食品メーカーと知り合い、仕入れるようになったという現地人もうらやむ珍味です。
白いご飯にも合う塩気とコク、なにより殻のガリガリと強い食感が一番の魅力。旭川の飲み手には馴染みがない食材で、見た目のインパクトもあって好みは分かれそうですが、日本酒がはかどるのは間違いなし。
居酒屋 山さん
旭川市5条通7丁目ふらりーと
Tel 0166-25-5266
17時~23時
水曜定休
締められて、深まって
「市内の鮮魚店ヤマチョウが扱う積丹産寒平目は絶品」と心酔レベルの店主。水揚げ後すぐに神経締めした魚は獲れたての鮮度が保たれ、身の旨みも爆上がりだそう。最高級の道南真昆布でこぶ締めし、しばらく寝かせて旨みを凝縮した身厚な平目はもうそれだけでごちそうの域。
ここに甘酸っぱく調和のとれた自家製の酢みそ、さらにやわらかなワカメを添えて完成するのが寒平目のヌタ、1980円。余計な水気が抜けてプリッと弾ける歯ざわりが好ましく、磯の風味も実にいい。
和食道 きむら
旭川市豊岡4条8丁目
Tel 0166-34-0667
16時30分~22時
月曜定休
すし屋の魔法に悶絶
もう一品、至高のあん肝を。ポン酢ではなく奈良漬けと一緒にいただくサプライズに心躍る。果たして合うのか…?いざ実食。スタイリッシュな四角い成型はキリリと美しいエッジながら、舌に乗せるとホロ、トロ、と消えゆく繊細さ。あん肝は蒸したあとに甘辛く煮てあるそうで、奈良漬けの甘さと見事にマッチ…!
すし屋らしく、このコラボは巻きずしでもいただくことができる。芳醇な酒粕とコクのある赤酢シャリ。また罪な味を知ってしまった。単品1650円、巻きずし880円。
小西鮨
旭川市3条通6丁目
Tel 0166-22-4443
17時30分~23時
月曜定休
育ちの良さがうかがえる
醤油ダレがほどよく染み渡り、酒を誘う艶やかなあめ色に。箸で摘まめばしなだれる、ぽってりソフトな食感。丸々とした肝は脂と旨みをたっぷりたたえて、濃厚で深いコクとほのかな苦みを伝えてくれる。鮮度の良さがびんびんに伝わるイカゴロ漬け900円。
牛や鶏、馬などのたたき料理が主役の店ではあるが、こうしたアテにもしっかり目配せしてくれているのが嬉しい。キレのある辛口でじっくりやったら、1切れ残して。締めは当然、白いご飯でいこう。
居酒屋 輝ろろ
旭川市2条通6丁目
Tel 0166-74-8840
18時~0時
日曜定休
美しすぎる断面よ
な、なまめかしい~!点描を散らしたがごとくのオレンジ色の脂。あまりの美人ぶりに思わず拝んでしまった。今生で出会えた幸運に感謝。
鮮度のいい肝が入荷したときだけ仕入れして、血合いや皮を取ったり塩漬けしたり、成型して蒸したり。実にたっぷりの手間と愛情がかかったコなんだな。
そしてここのすごさはあん肝だけじゃない。写真だと少しわかりづらいけど、皿の底にそっと張られたポン酢も手作り。濃厚な肝の脂を、穏やかな酸と塩味がなだめる。天国が見えた。1280円。
和菜酒房 おりべ
旭川市2条通7丁目プラネット2・7ビル1F
Tel 0166-67-2555
17時30分~22時30分
日曜定休