奇才･木村英輝さんが描いた ロックな壁画の整体院

咲き乱れる牡丹、今にも飛び立ちそうな蝶々、ちょろりと片足を伸ばして蓮から身を乗り出す蛙―。金色の絵の具で縁取られたモチーフを曼陀羅絵のように鮮やかな色彩で塗り上げた壁画は、現代美術界の奇才と称される木村英輝さんの手によるものです。

マルワ整体院(旭川市永山5条4丁目)の代表・若松亮さんは、かつて仕事で京都を訪れた際、ショーウィンドウに製作していた木村さんの独特な世界観の壁画に引き付けられました。以降、祇園でオリジナルグッズを販売する木村さんの店舗を訪ねてはそのデザインに触れ、よりいっそう強く魅了されていったと言います。今回、整体院のリニューアルをきっかけに、憧れていた壁画の作成を依頼したところ快諾。先月16日から19日の4日間で、1階施術室の天井には蝶々、トイレに蛙、2階エステルームに牡丹が描かれ、なんともアートな院内に仕上がりました。

木村さんは1960年代後半を芸大の講師として過ごし、のちに日本初のロックイベントを企画した経験からイベントプロデューサーとして活躍しました。還暦を目前に描きたい思いを募らせ、ふたたび絵筆を取ってからは各地を巡って壁画を制作しています。心がおもむくまま、チョークでラフにあたりをつけた下絵を元に、勢いを削がないよう金の塗料で素早くアウトラインを決めていきます。その後、影やコントラストを配慮しながら彩色。迷いのない筆運びを感じさせるかすれや線の強弱、絵の具の盛り上がりから、直描きならではのダイナミズムが伝わってきます。

「来院してくれる方の心に花を添えられるような壁画を描いてもらいました。階段では、先立って依頼していた鯉のタペストリーも泳いでいます。地域の方の心と体の元気をサポートできる整体院として、今後も精進します」と若松さん。来院者以外の見学は不可。施術の予約や問い合わせは、マルワ整体院(電話0166・46・2315)へ。