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- 趣味は長年続けているスキー。スキー場のすぐそばに住んでいるので、天気がいいと出かけているそう。「スキーをしていると、さすがに煎餅のことを考えなくてすむからね」
さっくりした歯触りの薄い洋風煎餅「うす焼きせん兵衛さん」。(株)煎菓亭・鈴木製菓を代表するこの製品は、生地が安定しやすいひんやりと涼しい午前中にのみ作られます。旭川の気候を生かした銘菓なのです。
社長の鈴木等さんは、19歳の時から60年以上も煎餅一筋。兄弟が多く、家計を支えようと南部煎餅を缶に詰めて売ったのが始まりです。転機は35歳。コツコツ働いて少し余裕ができたころ、妻に「旅行でもしてきたら」と勧められ向かった大阪で、「もうこの仕事はやめてもいいかなと思ってたのに、気付いたら煎餅を焼く機械を作る工場に100万円ポンと置いてきちゃってたんだ」。以来、焼き手としてますますがっしりとこの世界に根を下ろすことになりました。
野菜を使う菓子が存在しなかった当時のこと、野菜パウダーもなく茹でたアスパラやかぼちゃを練り込み試行錯誤を繰り返しました。経験を積む中で増毛のタコ、当麻町のでんすけスイカなど加工が難しい食材にも挑戦。「本物を使うとどうしても味や色は薄くなるけどね…古いと言われても、香料を足すのはイヤなんだ」と添加剤は使いません。この信念が届き、今では道内外から地元の名産品で作ってほしいと依頼が舞い込みます。
現在販売しているのは牛乳やあずき、とうもろこし味など20種ですが、これまで開発したのは実に200種超。「新しい味を作る時は、頭ん中をゼロにするの。そうじゃないとどこにでもあるような味になっちゃうからさ」。60年の経験と自在にリセットできる頭、職人にこれ以上の武器があるでしょうか。