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- ©空知英秋/集英社 ©2018映画「銀魂2」製作委員会
豪華なキャストでド派手にドタバタをやるという贅沢なシリーズ。本作はその二作目で、冒頭から大小のネタをぎっしり詰め込んでくる。キャラクタは大勢出てくるものの、初見でも何ら問題ない。ストーリーはいわゆる「熱く」「ちょっとイイ話」であり、わかりやすい。ネタの方は楽屋オチからオタクカルチャーに至るまで大量にあり、全部はわからないかもしれないがわからなくてもどうということはない。
今をときめく旬な人気俳優から高名なベテラン、重鎮に至るまでキャストが実に豪華。そしてその豪華なキャストがいろいろなものをかなぐり捨てて全身全霊で小ネタに挑む。この人にそんなことをやらせていいのかと思うシーンが満載だ。
これ以上ないぐらい徹底的にドタバタなのに、ときどき目頭が熱くなっちゃうような展開もある。そして直後にまた悲惨なほどバカバカしいネタに着地したりする。この目まぐるしい展開こそが本作の魅力だろう。ギャグは時にあざとすぎたり下品すぎたりするので万人向けではないものの、そういうのに抵抗がないのであれば腹の底から笑ってしまう。久々に、映画館で客席が笑いに包まれていた。ぜひ劇場で大笑いしていただきたい。(映画ライター・ケン坊)
ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム
この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。
ベタで下品なギャグと、随所にちりばめられるオタクネタ。そういうものが好きじゃない人は思わず眉をひそめるかもしれない。何でもありな世界を作り出し、その中で種々雑多なキャラクタたちが暴れまわる。時代劇風の要素もSF風の要素もあるのに時代考証やSF考証などはまるで必要ない。登場人物の名前を見るとこの作品がギャグであることがわかる。もちろん名前だけでなく、あらゆる方向にふざけている。全編に渡ってこの悪ふざけが散りばめられているので、どこまでこれに乗っかってついていけるかがこの作品を楽しめるかどうかの分かれ目になりそうだ。ベタなギャグが傍らを通り過ぎたり、マニアックな小ネタがわからなくて一歩引いてしまったり、登場人物のツッコミに心の中でもう一段ツッコミを入れてしまったりすると急に作品世界から浮上してしまう。そうすると急に冷めた目でしか見られなくなり、「なんなんだこれはいったい」としか思えなくなる。ネタはよくわからなくてもとりあえず俳優の芝居で笑っておくのが良い。幸い俳優は力量の高い人を揃えてあるので、ネタの意味がわからなくても十分笑える。
小ネタに比してストーリーの方は非常にわかりやすい。男たちの仁義や友情などを軸に、熱い話が展開される。好感を持てるのは、そこに色恋が絡まない点だ。本作は劇映画には珍しくロマンスの要素が無い。さらに言うと、家族愛のようなものもない。たくさんの「仲間」は描かれているけれど、いわゆる「家族」は描かれない。チームが家族的ではあるかもしれないが、そこに血縁はない。恋愛や家族愛などを排除し、代わりにオタク的愛を描いている。おそらくこの作品が共感させたいポイントはその付近にあるのだろう。
かなりふざけた作品だから毎週のようにこういう作品を見たいとは思わないけれど、たまにはこういう作品で笑うのも悪くない。