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- 美瑛の畑に転がる麦わらを丸めた麦稈(バッカン)を表現したロールケーキは、佐川さんが考案。取材中「やっぱりこの町に来てよかった」と何度も口にしていたのが印象的でした
東京世田谷にある「ラ・テール洋菓子店」で働いていた佐川さん。同社が美瑛に新店を出すことになり、「行きたい」と志願しました。神奈川県出身で、北海道に来たのは旅行で1度だけ。「絶対にいい経験になる、行った方がよいと思ったんです!」と柔和な語り口が熱くなりました。最初は驚いた妻も賛同し、昨夏の開店に合わせて家族とともに移住しました。
見晴らしのよい丘の上に建つお店の窓から、季節をぐるりとひとまわり見届けて、「景色にはそんなに興味はなかったんですが、強烈な夕日の色や雨がキラキラ輝く様子などは本当にきれい。地元出身のスタッフは見慣れていて、今さらいちいち感動しないようですが」と嬉しそうに話します。
美瑛に住んで見えてきたのは、美しい景色だけではありません。牛乳を提供してもらっている町内の牧場に牛の様子を見に行ったり、りんごを探しに神居古潭の果樹園に足を運んだりする中で、これまで以上に農家さんたちの顔が見えてくるようになりました。一人ひとりを思い浮かべながら食材と向き合うと、さらに愛おしさが増していきます。「特にアスパラやとうもろこし、トマト、じゃがいもなどのおいしさは格別」。夏場には、美瑛産トマトのあまりの甘さに、生のトマトを果物のように使ってロールケーキを作りました。
業界でもいち早くオーガニックシュガーなどの自然素材を取り入れてきた同社。「素材に妥協しない分、どうしても少し高くなるかもしれませんが、おいしくできるのであれば、それを追求していきます。それでも食べたいと言っていただけるようなお菓子を作っていきたいです」と語ります。