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- 同じ「辛口」といっても人によってそれぞれ感じ方が違うもの。土井さんは「これまでどんなお酒がおいしかったか、どんな食事に合わせたいか」などを丁寧に聞き取りしながら最善であろう1本を提案しています
上川郡美瑛町で地酒の専門店として3代続く「土井商店」の長男として生まれた土井優慶さんが、学生時代に志したのは医療の道でした。猛勉強の末に合格した旭川医大で勉学に励みましたが、5年生の時に体調を崩したことをきっかけに道半ばで中退。「家業を継ぐつもりはありませんでしたが、そんな状況だったので店を手伝うことにしたんです」と社会復帰とリハビリを兼ねて働き始めます。
徐々に仕事を覚え、任されることも多くなってきたころ、気持ちに変化が生まれます。取引先の蔵元と直接会って話す機会が増えたことで、「自分と同世代が、何百年も続くような酒蔵を継いでいることに刺激されて。皆熱い思いを胸に秘めて仕事をしているんです」。自覚が芽生えた土井さんは、家業を継ぐ決意を固めました。
現在、実父で3代目社長の政春さんのもと、専務取締役として現場を取り仕切る土井さん。日ごろ心掛けているのは造り手の思いを余すことなく消費者に伝えることです。「その熱量が100だとして、販売店の僕らがいかにその温度を下げずに食卓まで届けられるかが重要なんです」。商品知識やテイスティングはもちろん、蔵元の最大の理解者となるために、定期的に表敬訪問も行っています。
店は一昨年、旭川市緑が丘に移転。ホテルのロビーのような広々とした店内に全国の地酒や各国のワインを取り揃える「お酒のセレクトショップ」として生まれ変わりました。「家計の中で、お酒っていわゆる遊興費だと思うんです。そうなると僕らのライバルは、映画館とか遊園地とか海外旅行じゃないかと。お酒をもっと日常的においしい、楽しいと思ってもらえるような提案を続けたい。もちろん飲みすぎ注意ですが」と笑いながら話します。