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内容のー部もしくは全部が変更されてる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
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- 道内の地酒や国内指折りの銘酒を扱う地酒販売うえ田の新機軸、うえ田舎が、この7月、買物公園にオープンした。
注目すべきは店の奥に設えた、まるで隠れ家のような角打ち(立ち呑み)スペース。酒は同店ならでは厳選の数十種、勿論、蒸し燗に好適な酒も日々数種を用意。加えて、酒にぴたりと相性の良い洒落た小料理が気軽に楽しめるとあって、酒のプロによる演出はお見事。
本来は何を肴に呑もうかという語りが当欄の常だが、今回は酒。どうしても書きたい、そんな場面に出会えて私は嬉しい。
写真はお銚子。これ自体タネも仕掛けもないが、燗のつけ方が面白い。「蒸し燗」という文字通り蒸し器を使いゆっくり時間をかけて蒸し上る燗酒がある、と話には聞いていたが初めて見た。
酒は湯煎でゆるやかに熱を加え、じんわりと温めてやると味わいはまろやかに。対して焼き燗など炎で急激に加熱すると、辛口に変化しやすいとされている。どちらが旨いかは、呑み手の好みによるが、こんな演出をされたら、こっちを呑みたいに決まってる。
で、旨かったのかって?
今般頂いたのは、飲み応えは冷やでやるよりも濃厚で、旨み、酸味が実にふくよか。喉を下れば、きゅ~っと身に染みてくるような味わいだ。これぞ燗のなせる業かと大いに納得した次第。
目の前で、蒸篭のふたを開ければ、温かな空気の中に鎮座する銚子たち。そんなスロウな風情もまた、味があってよろしい。
(フリーライター・唎酒師 コタさん)