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- ⓒモンキー・パンチ/2019映画「ルパン三世」製作委員会
レザーだったのか、それ。ルパン三世が着ているあの赤いジャケットの話である。これまで見てきたアニメのルパン三世で見慣れているあの赤いジャケット。勝手にコットンだと思っていたのだがレザーであった。それに彼のあの頭。ルパン三世に髪は生えているか。無論生えている。しかしアニメのそれは、頭部に境界線を描いて塗り分けられたものであり、そこに「毛が生えている」感は薄かった。いや、薄かったのだということに気づかされた。この髪型は見覚えがある。モンチッチ…。次元の髪は脂っぽい。シャンプー、したほうがいいですよ。ランニングシャツ姿で頭の後ろに手をやるルパン三世。腋毛が無い…。脱毛した?
「初の3DCG」と謳われた今回の映画、それがどういうものか知らなくても一目見ればそこには驚きが溢れている。当たり前のようだが服には材質があり髪には毛が生え肌は皮膚である。世界とはかように驚きに満ちたものであった。
ストーリーはど真ん中の冒険活劇だ。「レイダース 失われたラピュタ」といった趣のものである。世界を変えてしまうお宝をめぐってナチスと戦い、遺跡の謎を解いてお宝にたどり着く。まさにインディ・ジョーンズなのであった。(映画ライター・ケン坊)
ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム
この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。
ルパン三世。アルセーヌ・ルパンの孫だという彼だが、ときどき、この「じいさま」をにおわせる作品が登場する。本作もその一つだ。そして毎度気になることがある。父さんはどこいった…。
本作の特徴はやはり、予告編でも大々的に謳われていた「初の3DCG」ということだ。正直なところ、映画を見る側にとって、その映像がどうやって作られたのかといったことはどうでもいい。映画が映画として面白いかどうかということが重要であって、それがアニメであろうとCGであろうと何であろうと、大した問題ではない。しかし、本作は大々的に宣伝するだけあり、その「表現」の部分に力が入っている。少々、入りすぎている。何を見せるかよりもどうやって見せるかが重視され、その結果、映像的な驚きに満ちたものになった。驚きの大部分は「違和感」である。
この新しい表現はたしかに目を楽しませる。漫画の極端な表現がアニメだとさらに誇張され、それは楽しいものであった。しかし同じことを3DCGでやると過剰に見える。その過剰さを楽しむといった方向の楽しみ方はあるし、実際私はその方向でけっこう楽しかった。でもこれはおそらく不快感を覚える人も多かろう。
ストーリーは良くも悪くも王道である。ルパン三世らしいといえばとても「らしい」作りだけれど、往年の冒険活劇のフレームにカッチリ収めてきたという印象で、インディ・ジョーンズみたいだ。追っているお宝はラピュタみたいなもので、お宝に通じる鍵がヒロインが祖父から受け継いだものだったり、ヒロインが敵側の組織につかまって利用されていたり、そのまんまラピュタなのである。
最後にどうでもいいが、この作品のタイトル。『ルパン三世 THE FIRST』。ルパン三世は英語にすると「Lupin The Third」であるからして、これは「Lupin The Third THE FIRST」ということになるわけで、いったい何を言っているんだオマエ、という気分になる。そして再び思うのだ。Second はどこいった…