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- 豊岡から現在の場所に移転して1年半。広くなった店の一角では、夏にとれたて野菜を販売することも。店内にはパーティーや会合を開くゆったりしたスペースもあり、貸し切りの相談にも応じます。食事は予約がおすすめ
イタリアンレストラン「ビランチャ」のオーナーシェフ・鈴木一徳さんは東京出身。17年前、当時勤めていた会社が旭川にレストランを立ち上げることになり、初めてこの地を踏みました。
「半年か1年経ったら帰るつもりだったんですが…」と鈴木さん。車もなく、近所に借りたアパートと店を往復する毎日で、華やかなネオンが恋しかったそう。一方で仕事は充実し、直接農場や牧場に足を運べる経験は新鮮で、いい食材を東京に持っていきたいと夢を膨らませていました。しかし1年後、心境に変化が訪れます。生産者と交流を重ね、作物に対する情熱を知るうちに、生産地から離れて東京に戻ることに不安を覚えるようになりました。悩んだ末に「とにかく野菜に感動」した気持ちを信じ、この町に残ることを決意します。
旭川近郊の複数のレストランで経験を重ねたのちに独立。お客さんに近いオープンキッチンにしようと決めていました。信頼できる農家さんたちとの繋がりも深まり、仕入れた野菜の顔ぶれを見てその日のメニューを決めるスタイルにたどり着きます。使う野菜は年間100種類ほど。ふだん食べているものを、どう新しい形で提案するかを常に追求しています。ちなみに取材日に提供していたのは、焼きナスのジェラート。スモーキーな香りをまとったナスの風味が斬新な大人のデザートでした。
「冬の厳しさを感じるたびに、やっぱり時々東京に帰りたいとは思っちゃいますね」と打ち明けますが、いまは料理教室を開いたり、忙しい女性たちのために1次加工、2次加工した食材を提供したりという展望も。楽しみながら長い冬に備える食の知恵の共有なども視野にあり…、まだまだこの地でやりたいこと、やらなくてはいけないことがありそうです。