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例えば居酒屋のお通し。たまにあら汁を出してくれることがあるでしょ。あれ、とても嬉しい。
あらもいいけど、何たって〝汁〟が旨いんだな。具材の香味がたっぷりで、まさに胃袋に沁みるような旨さ。おまけにその温かさで代謝が良くなるような気さえして俄然、酒が進むんだな、これが。早い話が、汁を肴に酒を呑んでる訳で、その感覚は悪くない。
汁で酒を呑めるの?と仰る方がおられるかもしれないが、はい、呑めます。酒のアテは固形のみにあらず、なのだ。
ほら、思い出してみて。周りにこんな呑兵衛いませんか。煮魚の汁が美味しくて「これだけでも酒呑めるな」とご満悦の呑兵衛。かと思えば、鍋の宴で「汁だけちょうだい」なんて言い出す始末。ここまでくれば呑兵衛もかなり硬派な部類と思うが、これこそ汁と酒がいかに好相性かの明白な状況証拠だ。そうそう、居酒屋といえばモツ煮も美味しいね。筆者も前掲の呑兵衛同様、汁だけでも酒呑めそうだな(笑)。
もうひとつ、汁と酒の好相性を示す例に〝出汁割り〟がある。古くからある日本酒(特に燗酒)の趣向なのだが、酒を出汁で割るだけで、これが滅法旨い。出汁はよくある昆布や鰹で取ったもの、または、おでんの出汁や、今回作ってみたような汁でもいいのでお試しあれ。
という訳で、家でやってみた。そう、汁で呑んでみた。簡単なところでは、すり身汁。素朴な風味の魚の擂り身も、この汁は思いのほか洗練されていて美味。酒の香味を引き立てる良いアテになる。
あさり酒蒸しは、汁も楽しめるように出汁をたっぷりと。あさりの身はもとより、汁にこそ滋味があふれ、これをすくって味わってみれば、あと引く旨さ。もちろん、これに合わせて酒も進むこと請け合いだ。
ぬくぬくの汁ものとともに楽しむ酒は、優しい味がして、やんわりと身体が温まるように心地良い。これで明日の寒さも乗り切れるぞとは、またもや呑兵衛のセリフであるが、何かしら元気が湧いて来るのは本当だ。
こんな汁も旨いです
タラの切り身をジャガイモ、ネギとともに塩出汁で煮る「タラの塩煮」。豚汁に酒粕を混ぜて「粕汁ふう」。サケ、キャベツ、玉ねぎを濃いめの味噌汁にした「ちゃんちゃん汁」