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うだるような暑さとはよく言ったもので、大した仕事をしていなくとも、歩いているだけでオーバーヒートしそうな毎日が続いた。夏の疲れとともに原稿は溜まり、じわじわと締切も迫っている。夕方4時、今日も気温はまだ高い。会社へと向かっていた足は、無意識に路地裏の喫茶店へと吸い込まれていた。
マスターが作るちょっと変わったランチメニューが人気で、昭和58年の創業以来、昼どきは中心部で働くビジネスマンで賑わう。ベロア調のソファとワインレッドのテーブルが並ぶ店内は、これぞ純喫茶といった趣を醸し出している。まずは水を一気に飲み干し、渇いた喉を潤した。異国感を漂わせる、鈍く光る銀色のラッシーグラスが印象的だ。注文はもうすでに決めている。自家焙煎にこだわったコーヒーのいい香りも気になるが、今の自分を癒してくれるのはこのチョコレートパフェ(800円)しかないだろう。
記録的な暑さが続く夏のせいにして、ほんの少しだけ照れながら注文。ふと辺りを見渡すと、ケーキを食べるカップルや、覚えたてのタバコをふかす大学生、ゆっくりとコーヒーを嗜む老紳士まで客層は幅広い。一度中に入ると長居してしまいそうな居心地の良さが魅力だ。ほどなくしてパフェが運ばれてきた。バニラアイスにチョコレート。生クリーム。奇をてらわないシンプルな見た目には風格すら感じる。それぞれが混ざり合いながら一口ごとに溢れる甘い幸せと、三十路を過ぎても未だパフェを掘り起こしながらワクワクしている自分に、呆れつつも小さな喜びを感じた。
喫茶店のBGMは古いジャズとお客さんのおしゃべりだと思う。今食べているケーキやコーヒーの話、いつか乗りたい車の話、昔の思い出話。時代も世代も飛び超えて、様々な人々が混ざり合ってできるひとつの空間。パフェの甘さとそこで過ごす自分だけの時間が、ゆるやかに疲れを癒してくれた。今度はあたたかいコーヒーを飲もう。もうじきこの暑さも和らぐだろうから。
ブレンド
旭川市3条通8丁目
☎0166-24-5139
営/10:00-22:00
休/日曜
※営業時間は状況により変動あり