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様々な情報が飛び交う現代社会では、本来必要としない余計なものに出合うことも多い。流れてきた情報に踊らされるだけでなく、考えて、判断し、自分にとっての正解を見つけなければならない。仕事に追われ、気づけば昼時も過ぎた午後3時。無性に食べたくなったナポリタンを検索し、スマホの画面に映る姿に一目惚れ。気づけば、衝動的に車を走らせていた。
店に入ると、ママが常連さんと一緒に高校野球を見ている最中。まったりとした時間に割り込むことに申し訳なさを感じながら、とりあえずメニューに目を通す。水が運ばれてきたタイミングでナポリタン(800円)を注文した。開業したのは昭和55年。カーブが美しいカウンターに赤いベロアのチェア、銅製の灰皿。天井が高く開放的で、店内には外の光が燦燦と降り注いでいる。油が弾ける耳心地のよい音と共に、ケチャップの香りが漂ってきた。僕はというと、渋さと上品さを兼ね備えた内装やレトロな電話機を見ながら、自分が探偵でここが事務所だったら…と、頭の中で間抜けな妄想をくり広げていた。
ちょうど依頼人からの電話でベルが鳴ったと同時に、ナポリタンが到着。四角い鉄板に盛られたその姿は、事前に見た通りだ。玉ねぎにピーマン、ウインナーと王道の食材がどっさりと盛られ、フォークで持ち上げるとモクモクと湯気が上がる。茹で置きしない麺はほどよい歯ごたえで、ケチャップが濃厚に絡んでいる。まさに、食べたかった味のど真ん中を直球ストレートで突かれた気分。キャベツの千切りにポテトサラダ、その上にこれでもかとドレッシングがかけられたサラダも泣かせる。途中、粉チーズやタバスコをかけながら無心で完食。ほんのり赤く染まったお手拭きだけが残った。
自分で確かめて経験したことは、誰がなんと言おうと紛れもない真実。この日はうっかり踊らされたが、文句なしの大正解だった。店を出るとき「うちはココアがおいしいの」とママ。次の楽しみにとっておくか。(文/武山 勝哉)
軽食喫茶サン
旭川市川端町2条6丁目3-3
☎0166-54-4642
営/9:00-18:00 ※日曜・祝日は17:00まで
休/不定休
※営業時間は状況により変動あり