喫茶店と食堂の狭間で
変わりゆく時代と日替り弁当

外回りの帰り道に毎日のように通る5条通。いい提案ができた日も、うまくいかずに落ち込んだ日も、会社に戻る時はいつもこの道を通る。その度にずっと気になっていた「レストハウス」の看板。クラスターにロックダウン、ブレイクスルーなど近年急速に増える横文字には違和感しかないが、妙に気になるのは佇まいから昭和の匂いがするからだろう。

ヤニが染みついた壁に沿って、麻雀ゲームのテーブルが並ぶ。普通の席より足元は狭いが、座らずにはいられない。腰を下ろすと分厚いメニュー表が運ばれてきた。定食や丼、カレーにスパゲッティーと、豊富なメニューが写真付きで紹介されている。好き嫌いがなく〝日替り”という言葉にめっぽう弱い自分は、迷わず日替りムトー弁当(味噌汁・コーヒー付700円)を注文した。日替りの、なにが出て来るかわからないエンターテインメント性が好きだ。注文したら後には戻れない一方通行。その点、ここは月曜から日曜までメインのおかずが決まっている安心感がある。

手際よく仕事をこなすご夫婦の手さばきと、厨房から漂ういい匂いを楽しんでいると、弁当が到着した。蓋を開けると、メインの生姜焼きが霞むほどぎっしり詰まった副菜に驚く。自然と口角が上がるのがわかった。おかずが余らないよう、ご飯とのペース配分に気を遣うのも嬉しい悲鳴だ。そして味噌汁がうまいのなんの。弁当の箱から彩りがひとつずつ消えていき、最後は生姜焼きとご飯、たくあんをはさんで味噌汁で締めた。

食後のベストなタイミングで運ばれてくるコーヒー。ハンドドリップで淹れたアメリカンな味わいが、今の気分にぴったりマッチした。あれ？ぱらぱらと週刊誌をめくりながら、横文字ばかり使っている自分に気が付いた。お店は新しい時代に対応しながら、月曜から日曜まで休みなく営業している。昔の思い出に浸るだけじゃなく、変化を受け入れていくことも必要だよな、と元気に働く2人を見ながらぼんやりと考えていた。(文／武山 勝哉)

レストハウス ムトー
旭川市5条通18丁目
電話︎0166-32-9422
営／9:00-19:00
休／不定休