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昭和47年に開設した買物公園が、今年で50周年を迎える。学生の頃、毎日のように遊んでいたが、その頃とは随分景色も変わった。今ではやらなくなったボーリングにカラオケ、持て余した時間を西武や丸井でつぶしていたのもいい思い出。この連載は今回で9回目。なんともキリが悪いし、締め切りはとうに過ぎている。休み明けのアンニュイなけだるさをひきずりながら、新年1発目という気分でこのお店にやってきた。
まだ1月だというのに凍れる毎日。窓際の席に座り、冷えた体をさすりながらメニューをしばし眺める。昼時を過ぎた午後3時。1番上は抹茶。お茶といえば麦茶、もしくは緑茶な僕はお茶のことなどまったく知らない。だが、ここはやはりセオリーに従い、少しこなれた空気を醸しながら抹茶(和菓子付き700円)をオーダーした。お茶屋さんとしては、明治時代から続く老舗中の老舗。喫茶店は買物公園になる遥か10年ほど前、昭和36年にコーヒースタンドとしてオープンしたそう。ただ、その前からコーヒー豆の販売はしていたとのことで、やはり歴史は長い。
アクリル板越しにぼーっとテレビを見ていると、抹茶が運ばれてきた。いい香りを纏った湯気が、西日に照らされながら店内を漂う。一口すするとお茶の苦みと上品な甘み、お出汁のようなうま味が口いっぱいに広がった。和菓子の控えめな甘さも、正月明けの体にちょうどいい。自然と両手で器を持っていたのは、育ちの良さかお茶のせいか。どちらにせよ、なんとなく背筋がぴんと伸びたような気がした。
趣味でも仕事でも、続けるということはなかなかむずかしい。今年も楽しいことだけじゃなく、大変なこともあるだろう。ただ、忙しない毎日を繰り返しながら、ゆるやかにまた新年を迎えられたらいい。まずは締め切りを守ろうと心に誓った。(文/武山 勝哉)
コーヒーショップ マルサ
旭川市5条通8丁目右1号
☎0166-23-2072(前川茶舗)
営/9:00-17:00、20:00-24:00
休/不定休