昭和喫茶探訪⑪
春めく季節の新たな出会い
居心地のいい午後の時間
くつろぎ処 舞.ふれんど
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朝の空気でやんわりと冬の終わりを感じる今日この頃。天気がいい日は、冬とは違う生ぬるい風とともに、砂埃が鼻炎を誘う。この時期がいつもより快適になったことが、マスク生活唯一のメリットだ。
地元が末広なので、物心ついた時からお店の存在は知っていた。初めて来たのは4年ほど前だったか。確か暑い日で、アイスコーヒーを飲んだ気がする。日替わりランチにパスタ、ハンバーグも気になるが、今の腹の空き具合にぴたりとはまったカツサンド(820円)に決めた。メニューには真っ赤な文字で肉厚!と書かれている。活気のある店内でぼーっとテレビを眺めていると、コーヒーと共に運ばれてきた。熱いうちに一口飲んでから勢いよくかぶりつく。文字通り肉厚ながら歯切れのよい食感と、甘辛いソースにピリっとからしをきかせた味わいに、一瞬で心を持っていかれた。付け合わせのポテトも、塩味と見せかけてスパイシー。見た目はシンプルだが、ずいぶん楽しませてくれる。ニクいヤツだぜ。
喫茶店を始めたのは1986年。その10年後、屋号はそのままに、ママの理想をすべて詰め込んだ今の店舗を建てたそう。吹き抜け、和室に大部屋にギャラリーもあり、幅広い層にファンがいるのがわかる。「コーヒーがおかわりできるからか、長くいるお客さんも多いの」とママ。食事に軽食、デザートにお酒もある。店内は静かすぎず、かといってやかましくはない。この居心地のよさは、そうか。店名の由来とはおそらく関係ないが、程よい距離感で寄り添う気心知れた友人のようだな、と思った。
メニューをぱらぱらとめくりながら、今度来るときのシミュレーションをしていた。次はあいつも誘ってまた来よう。きっと気が合うはずだから。(文/武山 勝哉)
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癒しの空間へ あなたも一度 足を踏み入れてください
住所:旭川市末広5条1丁目2-17TEL:0166-54-0404/定休日:年末年始のみ
末広/カフェ・喫茶
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