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オールディーズが似合うアメリカンな雰囲気に誘われ、少し遅めのランチをとることにした。屋根の雪が西日に照らされながら、音をたてて滴っている。腹は減っているが、天気がいいとそれだけで気分がいい。
昭和喫茶には珍しい自動ドアに驚きつつ、カウンターに腰掛ける。店内には古い車がディスプレイされており、重ねた歳月が風景に色を付け、2つとない世界観を作りだしている。豊富なメニューを凝視しながら、チーズハンバーグ(1300円ドリンク付)を見て空腹が頂点に達した僕は、勢いのまま注文をした。落ち着きを取り戻し、改めて車を眺めていると、隣にあるレトロなおもちゃの車が気になった。車体には「ビッグジャンボ」の文字。ドンズバなネーミングに、思わず笑みがこぼれる。
昭和を象徴する電話ボックスの名残りとWi-Fi環境のコントラスト、ママが注文を取りに行くたびに反応する自動ドアが、なんともいえず愛おしい。ほどなくしてハンバーグが到着した。早速一口頬張ると、たっぷりのチーズと肉汁、特製のデミソースが混ざり合い、気付けばもう夢中。ナイフとフォークを止める隙もないまま、昭和59年の開店当初から変わらないメニューの奥深さと凄みを堪能した。
そういえば、ライナーの創業も同じ年だったと思い話していると、「第1号に載せてもらったんですよ」とママ。その言葉を頼りに、昔の紙面を見返してみた。まだ自分が生まれる前だ。全てがモノクロで、今では考えられないような広告も目立つ。変わらないように見えても、人の手によって変化を続ける。老舗の味わいも、きっとその積み重ねだ。出会いと別れを繰り返し、季節は移ろっていく。春はすぐそこ。この先も変わらず、誰かの暮らしにほんのりと色を付けるような、そんな仕事を続けていきたい。(文/武山 勝哉)
COFFEE&FOOD SWAN-スワン-
旭川市豊岡11条1丁目2-6
☎0166-34-4663
営/10:00-20:00(火曜のみ18:30まで)
休/不定休