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少し肌寒い5月の昼下がり。雨が降っていて、まだ書いていない原稿は山積みになっている。けだるい気分だ。やろうと思っていたことが一向に進まず参っているが、目下の問題は傘がないこと。一旦頭を整理しようと、雨宿りを兼ねて気になっていたお店に入ってみた。
カウンターには常連さんと思しきご婦人たちが、テレビを見ながらコーヒーを飲んでいる途中。奥ではサラリーマンたちが、談笑しながら食事を楽しんでいた。今日はあまり時間がない。挨拶がてら、ブレンドコーヒー(420円)を注文した。静かにサイフォンの音を聞きながら、ぼんやりと仕事の段取りを考えていた。いや待て、じたばたしたってしょうがない。今はコーヒーに集中しよう。そう言い聞かせながら、あたたかいコーヒーを冷えた体に流し込む。
メニューをぱらぱら見ていると、食事メニューが充実しているのに気づく。真っ先に登場する「丼丼セット」は、どうやら丼物とそばのセットらしい。カレーや定食など、食堂好きとしてはそそるメニューが並び、そのどれもが安い。値上げの波を軽やかに乗りこなすような、これが老舗の余裕か。明日の昼の予定を確認し、高揚した気持ちを抑えながらコーヒーを飲み干した。
喫茶店と食堂が一緒になったお店の形態や、セットメニュー、鍋ごと届ける「かも鍋」など、当時としては画期的な試みをいくつもしてきたというオーナーの筒井さん。「自分のやりたいことをやってきただけだよ」と、穏やかに話した一言が印象的だった。自分に素直に、わがままなほど、毎日は楽しくなると思う。でも、やりたいことをやっていても、しんどい時だってある。そういう時こそ、こんな時間が必要なのかもしれない。仕事はなにも進んでいないが。でもまあ、明日の楽しみがひとつ増えたからよしとしよう。(文/武山 勝哉)
笛園
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