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考古学冒険恋愛小説を書いている作家が隠された秘宝を探している大富豪に誘拐され、それを小説の表紙を担当しているモデルさんが助けに行く、という話。このあらすじだけでもかなりのドタバタが予想されるのだが、予想をはるかに上回ってクレイジーな話が展開される。全体的に悪ノリみたいな話なのでまったく許容できないという人もあろうが、個人的にはこのぐらい突き抜けていると清々しい。
主人公の作家を誘拐する大富豪をダニエル・ラドクリフが演じている。もちろんハリー・ポッターでおなじみの彼だが、そのイメージを払拭するかのように振り切れた芝居を見せている。目つきからアブナイ感じで、意外と今後こういう役が増えるかもしれない。
見どころは主人公を助けに来るマッチョがマッチョだけどモデルという設定でまったく頼りにならないところ。助けに来たのがタフガイじゃないところにこの作品の面白さがある。また、他にも彼女を助けようと動く人たちが出てくるが、誰も彼もキャラが濃すぎていちいちおかしい。バカバカしい話で笑いたい人にお勧めの映画だ。
エンディングの途中にちょっと見逃すともったいない映像が入るのでお見逃しなきよう。(映画ライター・ケン坊)
ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム
この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。
ムチャクチャ系ドタバタコメディということで大好物である。主人公は小説家で、いわゆる大衆小説を書いている。その小説に描かれている考古学要素が実は実際の学問に紐づいていて、まるで架空の話というわけでもない、というところに本作の仕掛けがある。これで劇中作の世界と映画の中の現実がリンクしながら展開するわけだが、スリリングな冒険活劇になるわけではない。そもそもの劇中作も冒険活劇ではなくラブストーリーがメインで、冒険小説としては不要なほどの濃厚なラブシーン描写がされている。半ばそのエロティックな文章と、表紙を彩るマッチョタレントで受けているような気配もある。
冒頭はそんな小説作品の新作発表会なのだが、この発表会からしてドタバタが度を越している。主人公は作家なのに過剰にド派手な衣装で登場するし、一緒に登壇する相手がその表紙のモデルであり、この人物もだいぶ濃い人だ。この発表会がドタバタののちにお開きとなり、主人公は謎の大富豪によって拉致される。発表会に出席した際のド派手な衣装のままで。あらゆる要素が過剰に狂った状況を作り出し、あれよあれよという間に見ている私たちは作品世界に引き込まれる。というよりも、ここで引き込まれずに一歩引いてしまうときっとこの作品は楽しめないだろう。そういう意味で賛否が分かれそうな作品ではある。
悪役として登場するダニエル・ラドクリフはもはやハリー・ポッターのイメージを引きずっておらず、新たな魅力が全開だ。さらに、頼りないマッチョモデルが助けを求めて呼んでくるタフガイとしてブラッド・ピットも登場する。彼だけは本当のタフガイとしてアクションを披露するのだが、これ以上ないほどあっさりと殺されてしまう。衝撃だ。頼れるタフガイがあっけなく死に、頼りないマッチョだけが残る。
あれこれ突っ込んだら負けというタイプのデタラメコメディだが、何も考えずに腹の底から笑える楽しさがある。
なお、エンドロールが二段構えになっており、主要スタッフ、キャストの紹介部分と通常のエンドテロップの間に映像が挟まる。この部分で見せられる展開は本作最高の驚きと頂上級のたわごとなので必見だ。真面目に考えるような作品ではない、という宣言のようにも見える。いろんなところがムチャで考証も何もない。「それがどうした。笑えばいいんだ」そういう映画である。