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苫小牧出身で、大学進学を機に旭川へ。東海大学に在学中は空間デザインや建築について学びましたが、絵を描くことが好きだったため、趣味でパソコンを使ったデザインの勉強も続けていました。
この道に進んだのは、卒業間近に近藤染工場が出していた職人の募集広告を見たことがきっかけでした。折しもの就職氷河期、様々な企業で採用試験に落ちる中、工場の見学をして興味が湧いたことで求人に応募しましたが、またしても不採用。「いろんなところで落ちまくって、あまりにも腹が立ってきて(笑)」と、当時社長だった現会長の近藤弘さんに直談判しました。その剣幕に押された近藤さんに「それじゃあとりあえず、バイトできてみる?」と言ってもらえたことで11月から勤務を開始。情熱と真面目な仕事ぶりが伝わり、翌年の1月には晴れて正社員で採用されることが決まりました。
当時いた先輩はみな、父親ほどの年齢の職人たちでした。高山さんは「やったことはないけど、絶対俺の方がうまいはず!」とメラメラとやる気が燃えていましたが、そこはやはり駆け出しの下っ端。2年目にようやく「下絵に添ってのり置きで円を描く」という本染めのスタートラインに立ちましたが、「全然上手に書けなくて。やっとベテラン職人たちのすごさが分かったんです」と苦笑いで振り返ります。
染めは、色の濃淡によって難易度が変わります。たとえば薄い色は刷毛目が付きやすく、難しい。そのため最初は黒染めから練習を始めました。その後も先輩の仕事ぶりを見て学び、職人歴が20年を越えた今では手間のかかるボカシだって美しく染め上げます。先日も厚岸町からの依頼で、総ボカシのはんてんを作成。背景の空はオレンジと紺がにじむグラデーション、描かれた波模様一つひとつに細かいボカシが入り、海上を飛ぶワシの羽毛も複数の色が繊細に混じり合っています。色を置いたあとに指で馴染ませる作業を繰り返して作り上げた労作で、プリント製品にはない情緒と重厚感が魅力です。
「時間が経てば、誰でも一人前にはなれる。でも一流の仕事をするには、自分自身で突き詰めていくしかない」と高山さん。「僕たちが作っているのは伝統工芸品ではなく、はっぴやのれんなどの日用品だけど、技術を磨いてどうにかその価値を上げていきたいと思っています」と真剣な眼差しで語ります。「染めの仕事は、作業的には同じことを繰り返しているようだけど、うまくいかない日もある。完璧にできたと思っても次の日に見たらがっかりすることも。終わりがないからこそ、この仕事は楽しいんだよね」。