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学校の備品から中古品、押し入れに眠っていた年代物まで、どんな管楽器も修理します―3年前に東神楽の田園地帯に設立した工房で、生出さんは日々、楽器たちの様々なトラブルと向き合っています。
楽器の演奏は中学時代にスタート。母の勧めで吹奏楽部に入部しました。旭川西高に進学後も部活を続け、トロンボーンを担当。音で会話する合奏の喜びを味わうほどに、将来この分野に進みたいという思いが深まりましたが、音楽業界で生計を立てることは難しいとも考えていました。
そうしたとき、授業でギターを弾くことがあり、自宅で練習するため、物置からおばが使っていた1970年代の古いギターを発掘。埃まみれで再起不能に見えましたが、ギターショップで弦を張り替え、調整されると美しい輝きと音色を取り戻しました。「そこから、古いものや使われていないものに命を吹き込む仕事をしたいと思うようになったんです」と振り返ります。
その後、名古屋の専門学校で2年かけて楽器の修理技術を学び、道外の楽器店でリペアの経験を積みました。そして3年前、地元の東神楽で起業。部品の交換や溶接、ボディのへこみや変形などの修正はもちろん、もう手に入らないパーツに欠けやヒビが見つかれば、真鍮を削り出し、整形して部品自体を手作りします。一つひとつが極小の世界。修理の方針に応じて、道具も自分で作ったり、既存の道具を使いやすいように加工したりして、慎重に、確実に課題を克服していきます。「直せませんというのは簡単なのですが、自分が気に入った楽器で音楽を続けることを諦めないでほしくて、どうにかして直してあげたいんです」と生出さん。穏やかな口調で、ゆっくりと丁寧に説明する姿勢から、誠実であたたかな人柄が伝わります。
現在旭川近郊に修理が可能な楽器店は多くなく、札幌まで持ち込む人もいるそう。生出さんはできるだけ安価に、どんな故障にも対応できるよう、リサイクルショップやオークションサイトで壊れた楽器を入手し、修理の経験を重ねています。中でも得意な楽器はフルート。はじめは部品が細かく調整が大変なため苦手意識がありましたが、何度も練習するうちに、気が付くと得意になっていました。その腕前が評判を呼び、現在は依頼の8割をフルートが占めています。
今後は、楽器の改造やデコレーションも手掛けたいと考えています。「デザイン上ももちろんですが、演奏者の身体に合ったカスタマイズを重視したい。今は自宅の一室で修理をしているので、おすすめのお手入れ道具なども販売できる広い工房を建てられたらなぁと考えています」とはにかむ笑顔が印象的でした。相談無料。
管楽器工房 ラ・ルーチェ
TEL.080-5599-2372