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マット・デイモン+ベン・アフレックといえば「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」であの素晴らしい脚本を共同執筆したことを思い出すが、意外にも二人が映画を共同製作するのは今回初めてのようだ。幼なじみでもあり盟友でもある彼らが本気で「良い映画」を作ろうとし、誰もが知っているスニーカーの知られざる逸話がこの映画となった。選ばれた題材、脚本、キャスト、何もかもが磨き上げられていて、どこから見ても素晴らしい映画に仕上がっている。
本作が描くのは、スニーカーメーカーのナイキが歴史的バスケットボールプレイヤーであるマイケル・ジョーダンと契約し、世界一有名なスニーカー「エア・ジョーダン」が誕生したその経緯だ。つまりドキュメンタリー映画である。靴のメーカーと選手の契約の話であり、派手なことは一切ない。なのにスリリングでワクワクし、ハラハラする。丁寧に練られた脚本と一級の芝居がもたらす快感。「あぁこれこそが映画だ」と思わされる。
歴史を変えることになったたった一つの契約。この映画はそこに全霊を賭けて挑んだ者たちの物語なのだ。アドベンチャー映画にも勝るほどの勇気と挑戦がここにある。(映画ライター・ケン坊)
ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム
この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。
この作品はナイキがライバルであるコンバース、アディダスと競いながらマイケル・ジョーダンとの契約を獲得しようと挑む話であり、ドキュメンタリーなのでその結果は誰もがすでに知るところだ。ナイキがジョーダンと契約し、伝説のライン「エア・ジョーダン」が生まれた。エア・ジョーダンは世界で最も成功したスニーカーであろう。のちにライバル(というか当時の王者)であったコンバースはナイキに買収されることになる。まさに命運を分けたジョーダン獲得なのであった。
この話が心を打つのは、ナイキがジョーダンとの契約を獲得するに至る影で、掟破りを連発して動いたスーパービジネスマンがいたからであろう。この映画は彼の物語であり、そこに「ルールを覆し、誰も思いつかなかった方法で成功する」というサクセス・ストーリーがあるから大いに共感を得るのだ。この種の話は数多くあるが、いずれも「結果良ければすべてよし」というもので、これで失敗していたら「だから言わんこっちゃない」と言われるのである。しかし前代未聞の成功を勝ち取るためには、やはり型破りなことをできるだけの勇気が必要だろうし、それを支える信念、さらにはその信念を信じてくれる仲間などが必要だ。このナイキの一件にはそれが全部詰まっている。博打的に仕事をし、大した結果を出していない主人公。それでも彼を信じて社に置いているCEO。無茶な主人公と役員会の間で奮闘するCEOはちょくちょく主人公と衝突もする。それでも根っこでは信じており、最後のどうしようもない事態、主人公さえもあきらめた事態のときに超法規的ジャッジをする。
フィクションとしては出来すぎた話だ。こんな展開は現実味がないとさえ言われかねない。そんなことが現実には起こる。この熱いサクセスストーリーは、今世界的にあまり元気がない経済状態の中で、きっと多くの人に響き、鼓舞するだろう。