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- ⓒ和久井健/講談社
ⓒ2023映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」製作委員会
実写映画第二弾は前後編の分割上映で、本作はその前編にあたり、「運命」と題されている。後編「決戦」は6月公開予定だ。
この作品は漫画原作がすでにアニメ化もされており、本作は実写の二作目ということでだいぶ進んでいるシリーズの途中という印象がある。が、ここから入っても何も問題ないと断言しよう。かく言う私、恥ずかしながら本作が初めての「東京リベンジャーズ」体験であった。原作もアニメも前作さえも未見で何も知らないまま見たのだが、とんでもなく面白かったし続きが気になって仕方がない。もちろん「決戦」は公開されたらすぐに見に行く。
この作品は雑に言うと「殺されてしまう恋人を救うため、過去にタイムリープして奮闘する男の物語」である。そこにヤンキーの抗争が絡んでいる点に新しさがある。ヤンキーの抗争の結果恋人が殺される未来が訪れる。元ヤンである主人公はこの抗争の前の時間軸へタイムリープし、未来を変えようとする。失敗すると何度でもやり直し、そのたびに違う展開が起こる。
複雑に絡み合う人物関係、その人物を演じる俳優陣の魅力。スクリーンに満ちる熱量に圧倒される。シリーズを知らない人にもお勧めしたい。(映画ライター・ケン坊)
ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム
この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。
この原稿を書いている時点で私は前作を未見なのだが、冒頭のシーンから察するに、前作でも主人公は過去に飛び、ひとまずの目的を達したようだった。つまり恋人は殺されず、生きている未来を手にした。が、本作の冒頭でその恋人は再び殺されてしまう。過去を変えたことで現在にも変化をもたらしたが、別の事件でやはり恋人は殺された。なぜだ、というのを追うのが本作である。
事件の核はヤンキーのチームによる衝突、抗争にある。その大規模な決戦が10年前にあった。本作で主人公はその決戦の少し前の時間軸へジャンプし、決戦の行方を変えようと奔走する。主人公は過去の時間軸から見れば未来人であり、その後の行方を知っている人物であるはずだ。が、彼が過去にジャンプしたことですでに運命が動いていて、彼の知る展開とは異なる展開がすでに始まっている。主人公は時折現在に戻り、当時を知る人物から話を聞いたりして情報を増やす。主人公自身がほとんど何も知らず、さらに関連する人物が複雑に絡み合っていることで本作はその面白さを幾重にも増幅しているように感じる。
本作は実写映画だが人物は漫画由来なので特徴的な造形がされている。そのため、本作が初見であっても見ているうちに誰が誰なのか理解できる。逆に、見ていてもよくわからない人物については本作においてはわからなくても問題ない。チームの対立も、それぞれのチームごとに制服のような服装があるため、誰がどこに属しているのか、誰と誰が仲間なのかは見ていればわかる。加えて脚本もよくできているので、初めて見た人でもしっかりついて行けるだろう。実際私は初めてだったのだが本作一本で完全にハマった。
なお、本作は二部作の前編であるため、ものすごく中途半端なところで終わり。ハラハラしながら見守り、意外な情報がもたらされ、主人公と一緒に驚いたところでエンドロールが流れる。「え?」と思いながらエンドロールを眺め、エンドロール後の映像を見る。ここはもう後編への布石である。
後編は二か月後。とても待ちきれない。