木脇 靖浩さん

大学卒業後、7年間会社員を務めました。人と接する営業職はやりがいがありましたが、30歳を前にお客さんの喜びをより近くで感じられる飲食業への転身を決意します。

知人の店で1年間、厨房の仕事や仕入れ、経営のノウハウを学び、念願の店を開業しました。厨房が見えるカウンター席を設けたのは、お客さんとのコミュニケーションを大切にしたかったからです。

外食産業の活性化を目指す「居酒屋甲子園」を通じて、全国に仲間もできました。そこで、いまどんな業態が注目を集めているかを学び、旭川で展開しました。ランチや夜のお酒と小皿料理が楽しめるスペインバルなど、さんろく街に今までなかった楽しみ方を提案しました。

コロナ禍は、これまで全力で走ってきた道を振り返る転機になりました。アルバイトを含めて50人近くの従業員を雇用する多店舗経営の肝は「人」であると、いま強く感じています。次に進むためには個人商店から脱却し、人が育つ会社に成長させなくてはならない。そう判断し、今年自分の名を冠した創業店を閉店しました。それは次のステップへと踏み出す、自身への決意表明でもありました。

昨年オープンした店は、これまでにない大箱で、昼飲みも楽しめます。創業店でこだわったカウンター席も取り入れました。会社規模が変わっても、創業時の理念は変えない。そんな思いが込められています。