1. ライナーウェブ
  2. ニュース&記事
  3. おでかけ
  4. 本心

人の気持ちはわからない

本心

この記事は最終更新日から1年以上経過しています。
内容のー部もしくは全部が変更されてる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
©2024 映画「本心」製作委員会

AIやロボティクスの技術が発達し、自ら死を選ぶ自由死という制度がある近未来を舞台にしたある種のSF作品である。母親が「大切な話がある」と言い残したまま自由死で死んでしまい、主人公はその母親をAIによるバーチャルフィギュアとして仮想空間に蘇らせる。どうして死んでしまったのかを知りたかっただけなのに、思ってもみない母の一面を知ることになる。

テクノロジーの面でわずかに未来を描いている物語ではあるものの、現実とそれほど離れていないためSF映画という印象ではない。むしろAIやアバターといったテクノロジーを道具にしてより「人間」の生の部分に迫る作品になっている。

母の本心を知りたいという動機から始まる物語ではあるが、格差の問題、オンラインコミュニケーションの問題、飽和コンテンツによって歪んでいく人間性などを抉り出す社会ドラマという色の方が濃く感じる。

主人公が母の本心に迫るという主軸でありながら、あらゆる登場人物の本心がわからない。どう思っているのか、なにを考えているのか、それは本心なのか。長く寝起きを共にしている家族のことさえ、本当はまったくわかっていないのかもしれない。(映画ライター・ケン坊)

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

もっと読む

原作者の平野啓一郎は「分人主義」を唱え、個人の持つ多様性ということをテーマに作品を書き続けている。本作はそんな彼の分人主義を描いた名作の一つを元に映画化したものであるが、原作とはかなり大きく異なる。「本心」というタイトルは一見、死んでしまった母の本心のように見えるのだが、誰の本心もわからず、主人公の本心さえ、読者にはわからない。登場する人物それぞれをより丁寧に描き、誰のこともわからない、どの人物も、ある視点から見ただけでは、その視点に向けて見せている分人しか見えない。主人公にとって母であったその人は、息子に対しては母の顔を見せていたに過ぎない。同じことがあらゆる人物に対して言える。原作はこのような個々の人間の多面性を描きながら、AIの進歩によってより顕著になる格差の問題に着目し、問題提起するような内容になっている。

映画は描く人物を限定する代わりに、主人公がアバター代行サービスという仕事をするシーンを丁寧に描き、格差問題が抱える現代の闇に警鐘を鳴らす。資本主義の限界とAIの技術革新が同時に進行することでもたらされた危機的な経済格差。そこに少子高齢化社会における高齢者福祉の問題を持ち込み、自由死という制度によって死を選ぶ高齢者がアバター代行を使用して自らの終焉を演出する世界を描く。個々の問題はどれも重要であり、本作が訴えかける問題提起は重い。一方で、2時間の上映時間でこれらを全部詰め込んだためか、まとまりのなさが少々気になる。

最終的に主人公の本心はどこにあったのか、彼はいったいどうしたかったのか、なにを思っているのかわからないまま終わる。もちろんこの作品において「本心」がわからないというのは主題でもあり、主人公のそれさえわからないのである、という主張はわかる。しかしラストシーンを見て「けっきょくおまえは何がしたいんだよ」と思われる主人公は、やはりちょっと成功していると言えるのか微妙なところではないだろうか。

関連スポット

シネプレックス旭川

シネプレックス旭川

住所:旭川市永山12条3丁目ウエスタンパワーズ内

TEL:0570-783-882

永山/アミューズメント

イオンシネマ旭川駅前

道北最大級の8スクリーン1,200席

イオンシネマ旭川駅前

住所:旭川市宮下通7丁目2番5号 イオンモール旭川駅前4F

TEL:0166-74-6411/駐車場:900台

宮下通/アミューズメント

  • 駐車場

関連キーワード

シネマの時間 バックナンバー

ほどなく、お別れです
葬祭プランナーという仕事を描くいわゆるお仕事映画である。多くの日本人がお世話になる仕事だが、意外とその裏側は知らないのではないだろうか。この作品は葬祭プランナー... (2月13日)
クスノキの番人
東野圭吾の小説が初のアニメ化、ということで話題になっている作品だが、この作品は特にアニメ表現に向いていると言えるだろう。東野作品の中でもファンタジックな要素の多... (2月6日)
ワーキングマン
明けまして一作目。昨年の一作目がなんだったか覚えている人はおられるだろうか。そう。昨年は『ビーキーパー』で幕開けであった。今年はこの『ワーキングマン』。昨年に引... (1月9日)
シネマの時間2025 宇宙映画10選
今年もやってまいりました、年末スペシャル!今年は4年ぶりに、国際宇宙ステーションに日本人の宇宙飛行士二人が同時滞在したんだそうです。知ってました?というわけで、... (12月23日)
ズートピア2
動物たちの楽園、ズートピア。前作で活躍してバディとなったジュディとニックのコンビが、またもズートピアで起こる大事件に挑む。 ディズニーによるCGアニメーション作... (12月12日)
PRインターネット広告掲載はこちら »

ニュース / キーワード

ようこそ、ゲストさん

メールアドレス
パスワード

※パスワードを忘れた方はこちら

はじめての方はこちら

アカウント作成

ライナー最新号

2026年2月17日号
2026年2月17日号
春休みは斜里町へ 知床第一ホテルの 道民還元祭プラン
紙面を見る

ピックアップ

注目グルメ
注目グルメ
定番から新作まで ライナーが今注目する お店の味はこれだ!
シネマの時間
シネマの時間
映画ライター・ケン坊が語る宇宙映画とそのみどころ
外食チェーン
外食チェーン
人気商品ランキング上位3品をご紹介
つくろう旬レシピ
つくろう旬レシピ
プロの料理人が教える季節の食材を使った絶品レシピをご紹介
味な人
味な人
北北海道で食に携わる人々の横顔をご紹介
ものぴりか
ものぴりか
ライナーが集めてきた 地元の素敵な品々を紹介します
不動産情報
不動産情報
不動産・リフォーム等 住まいに関する情報を公開中
クーポン
クーポン
お得なクーポンを公開中
お知らせ
お知らせ
お店・スポットの お知らせ
ラーメンマップ
ラーメンマップ
ラーメン食べたいなぁ そんなときは専用マップで探してみよう
開店・移転・閉店
開店・移転・閉店
旭川市・近郊エリアの新店や創業などの話題。情報提供も歓迎!
星占い
星占い
2/17〜23の星占い

ページの最上段に戻る