アウトドアは男の料理の真価を発揮する場。
今回は西部開拓時代のカウボーイたちが愛用していた鋳鉄製の万能鍋「ダッチオーブン」を使った焚き火料理に塾生一同で挑戦しました。

講師を務めていただいたのは、東旭川町桜岡の観光牧場「クラークホースガーデン」のオーナー、クラーク小野塚さん。こちらの牧場では、乗馬や焚き火、ダッチオーブン料理など、カウボーイの生活を体験できます。

クラークさんは20年以上前に、アメリカでカウボーイたちとキャンプをした時にダッチオーブンと出会いました。仕事の合間に火にかけておくだけで何でも出来る万能鍋。質実剛健で実用的な道具を好むカウボーイらしい調理器具にほれ込み、自身の牧場のメニューに加えることにしました。

この日のメニューはダッチオーブン料理の定番「ローストチキン」。鶏もも肉、皮付きのジャガイモ、ニンジンのほか、香り付けにセロリがまるごと入った豪快なカウボーイ料理。たっぷりのにんにくと、塩コショウだけのシンプルな味付けなのに、野菜のうまみがしみこんだ肉は香ばしく、とってもジューシー。表面はパリッと、中身はやわらかく仕上がるのは、火のまわりが均一な分厚い鋳鉄鍋のなせるワザです。

東京出身のクラークさんは自衛隊員や会社経営などを経て、1996年に牧場をオープンしました。木を切り、草を刈り、民家を改装し、放牧地の柵を立てるのも自分たち。原野から切り拓いた風景はまさに開拓期そのもの。西部劇の一コマを切り取ったような雰囲気です。

牧場経営の一方で、2002年に北海道上川南部森作りセンターから「森林愛護騎馬隊」の認定を受け、翌年にはNPO法人「ネイティブクラーク」を結成。馬に乗りながら道路や河川など自然保護活動にも取り組んでいます。

「家族を愛し、自然と共に生きる。仕事に自信を持ち、自尊心を失わない」。

カウボーイたちが守り続けてきたこのシンプルなポリシーは、快適さや便利さといった価値観では語れない、本当の意味での豊かさとは何かを私たちに問いかけます。

「自然があって、馬がいて、人々の語らいがある。人生、それで十分じゃないか」。そう思える休日の午後でした。

午後６時。日が落ちた牧場は、一面真っ暗。地上からの光が少ない桜岡の夜空は、星がとても近く感じます。
クラークさんのアコーディオンが奏でる「アメイジング・グレイス」を聴きながら、男塾第3講は静かに幕を降ろしました。
受講者のみなさん、ありがとうございました！

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