
そば屋で、そばが茹で上がるのを待つ間、肴をつまみながら呑む酒をそば前という。大人の粋な嗜みと、愛飲家には知られた話。
そば食が誕生した江戸時代、気の短い江戸っ子を大人しく待たせるために、そば屋が考えたもてなしが事の始まりとか。
ならば呑むべし。『蕎麦前なくして蕎麦屋なし』と、文豪、池波正太郎氏もそば屋酒の楽しさを語っていることだし。都合よく感化されさっそく飲酒の口実に。
そば前の肴は、卵焼きや板わさなど、そばに使う具材で作るのが定番。なので、その店ならではの珍品にお目にかかることも。例えば写真のは、店の名物そばに使う種(具のこと)を、酒に合うよう味を調えたというもの。
店の味をツマミに酒をやれるとは、何と気の利いたおもてなし。これぞそば前の醍醐味だ。
で、酒を楽しんだら、〆のそばをたぐる(食べる)という流れになるのだが、粋な呑み手を気取るのも要注意。酔っぱらってそばを忘れちゃ本末転倒。粋も野暮に転じると形無しだ。(フリーライター、きき酒師)
そば処 名人傍
旭川市1条通8丁目
AM11:00~PM7:30
Tel 0166-23-1929
日曜定休