大型バイクやスーパーカーを乗りこなすダンディ俳優舘ひろし。三十数年前、その舘ひろしが、本人と重なるダンディ俳優でありながら免許を持っていない南条弘という役を演じた『免許がない!』。実は私、当時この作品を見に行った。ドタバタコメディとして底抜けに楽しい映画だった『免許がない!』から三十年以上が経ち、南条弘も70歳。今度は免許返納を迫られることになる。

前作の時にはまだ存在しなかった免許証の自主返納制度。本作はこれをテーマに据え、再び舘ひろしを主演に迎え、コメディとして描き出す。扱っているテーマが社会的な問題であることもあり、前作よりも底抜け感は薄まっているものの、免許返納を好印象に描くことに成功している。

主人公が俳優であるため、映画の中で映画作りも描かれる。映画だからなし得るバカバカしさについて言及し、本作自体でもそれを体現していく。映画はかように楽しいものだと感じさせてくれる。

社会問題について考えるきっかけをくれ、細やかな心の動きを描き、バカバカしいシーンで笑いをくれる。これぞ映画。ハーレーやフェラーリ、デコトラまで登場するので、ぜひ映画館の音響でそのエンジン音を楽しんでほしい。(映画ライター・ケン坊)

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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南条弘 is Back。三十年以上前『免許がない!』で免許を取得した南条弘は、無事故無違反を続け、70歳を迎えている。フェラーリやハーレーを愛する彼は、まだ運転に危なっかしさも出ていないこともあり、当然ながら免許返納を渋る。

高齢者の運転という問題は現代社会の重大な問題の一つと言えるだろう。日本人の平均寿命はここ数十年の間に大幅に伸び、かつては考える必要のなかった問題が各所に出回っている。加えて少子化という問題もあり、定年も高齢化し、定年後再雇用といった仕組みもある。運転を生業とする職業においても、労働者の高齢化という問題は無視できない状態になってきている。

本作はその社会問題を扱ってはいるものの、解決策を示すわけではなく、問題提起をするにとどまっている。考えるきっかけはくれるものの、主人公の置かれている境遇が普通ではないため参考にはならない。

主人公は著名な俳優なので、若いマネージャがついている。本人が運転できなくても、マネージャが運転してどこへでも連れて行ってくれる。作中では車が使えず、公共の交通機関で移動するシーンも描かれる。しかし新幹線やタクシーを利用するなど、「俳優だからできる」ことが大部分を占めている。この主人公にとって、免許返納は「名残惜しい」という点を超えれば、利便性の上ではあまり影響を及ぼさない問題である。多くの高齢者にとってはそうではないため、免許返納は思うように進んでいないわけだ。

とはいえ、さまざま事情はあれど、考えなければならない問題であることも間違いない。この作品はそのきっかけにはなるだろう。