
言わずと知れた格闘ゲームの大ヒットシリーズ『ストリートファイター』。本作はその映画化である。ストリートファイターIIの世界を舞台に、その後派生した周辺作品の要素を絡めて物語が組まれている。
注目すべきはキャラクター。再現度がとても高く、どのキャラもゲームの印象そのままに登場する。人間離れしすぎている人物もいるし、物理法則を無視した技もあるのだが、それらをうまく落とし込み、ちゃんと実在感を出している。様々なキャラクターが一対一で対峙し、それぞれがあの見覚えのある技を繰り出すのはとても熱い。そう、この映画はまさに、往年のストリートファイターIIとその周辺作品を遊び、キャラクターをよく知っている人に向けて作られた映画なのである。
一方で、映画として見ると作りはだいぶ甘い。ゲームへの愛はそこら中に溢れているのだが、映像としては微妙な部分が散見され、アマチュアによるファンムービーみたいな印象が否めない。あくまで往年のゲームファン向け、という映画ではあるが、キャラクターの再現度はそれだけでも見ごたえがあり、特に吹替え版は最新のゲーム版と同じ人を多く採用しているなど、ファンには熱い要素が満載だ。(映画ライター・ケン坊)
ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム
この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。
いわゆる『ストII』の世界を描いた作品だ。ストリートファイターというゲームシリーズは非常に特徴的で、二作目である『ストリートファイターII』があまりにもヒットし、そこから派生した作品がシリーズの大部分を占めている。今でこそ『ストII』という略称はあまり聞かなくなったが、当時はタイトルにIIが入っていない作品までも『ストII』と呼ばれているほどだった。
この映画は『ストリートファイターII』と、『スーパーストリートファイター』を含めたその派生作品群のキャラクターとストーリーを踏まえて作られている。ベースとなったゲームはすべて1990年代にリリースされたもので、映画のターゲットも当時のゲームに親しんだ人たちであると考えると、対象の年齢層はけっこう高いと言える。少なくとも今、『ストリートファイター6』をプレイしている層向けではない。
人気シリーズの〇周年記念作品、といった方向の企画が出てくる場合、古いファン向けになる傾向は他の作品でもあるので致し方ない部分ではあるのだが、この作品で気になるのは、往年のファンにとって熱いシーンがあれば良い、というある種の「雑さ」である。キャラクターの造形や技のリアリティはよく考えられていて、そこに作り手の情熱は感じる。実際、リアルタイムでこれらのシリーズを遊んできた私はそれを十分に楽しんだ。しかし、思い出を刺激するそうした要素以外にほとんど見どころがない。演出は雑だし、カメラワークも微妙。せっかく高い再現度を誇っているキャラクターのバトルシーンも、見せ方が微妙なのでいまいちかっこよくはない。「かっこいい」ではなく「懐かしい」に注力してしまっているように見えるのである。
また、本作の時間軸よりも前を回想するシーンは大部分がアニメで描かれている点も気になる。一応演出意図は感じられるのだが、必然性はない。単にアニメパートを入れたかっただけなのではないか、という印象を受けた。
エンディングの映像はクールでかっこいいのだが、これによって、エンディングが一番かっこよかった、という後味になってしまった。もちろんかっこいいエンディングに非はなく、それに勝てていない本編の方に問題がある。
こういう他メディアからの映画化というのは数多く作られているのだが、原作愛が重要であるとは言うものの、それしかないのもダメで、やはり最低限ちゃんと映画として良いものであってほしい、というラインはあると感じた。