
このようなタイトルではあるが、ライダーとギャバンは独立した作品で、実際には『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ 太陽が泣いた日』と『仮面ライダーゼッツ さよならのミッション』という二本の同時上映である。
ギャバンは多元宇宙を舞台にしていて、いわゆる並行世界に別のギャバンが複数いる。そのすべての宇宙に影響を及ぼすような事態が発生し、ギャバンインフィニティが強敵と対峙し、別次元のギャバンたちが事態を収拾すべく奮闘する。
ゼッツの方は夢の世界が現実を浸食し、予知夢で見た悲劇を回避すべく奮闘する。こちらも強敵相手に劣勢を強いられるが、夢の世界から意外な助っ人が現れる。
まったく別の話なのだが、本来交わらないはずの世界が交わり、別の領域から想いを共にする仲間が現れるという点で近い。しかし2本合わせて96分という上映時間に対し、エピソードも登場キャラクターも盛り盛りなので慌ただしい印象を受ける。とはいえ、これがショート動画時代のテンポ感なのかもしれない。
子ども連れで見に行ってほしい作品だが、意外にも客層は大人が中心であった。テレビシリーズを未見でも十分話について行けたので、安心して見に行ってほしい。(映画ライター・ケン坊)
ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム
この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。
ギャバンと言えば最初の宇宙刑事であり、メタルヒーローの元祖という印象だった。今回のギャバンはその延長にある宇宙刑事ではあるのだが、多元宇宙、いわゆる並行世界を舞台にしており、それぞれの宇宙に別のギャバンがいる。宇宙空間に母船があり、そこから支援を受けてギャバンは戦っている。本作での相手はかつての師であり、ギャバンの能力を無効化する能力を身につけた強敵である。これをどうやって打倒するのか、という話だが、テレビの二話分ぐらいしかない長さで、なおかつ別の宇宙にいるギャバンたちも登場させるため、ストーリー展開はかなり慌ただしい。描いているドラマは重く、深い内容なのだが、その他の要素とのバランスが悪く、どの層をターゲットにしているのかがわかりにくかった。
仮面ライダーの方は序盤でバイクでのチェイスをじっくり描いていて良かった。こちらも上映時間に対してやろうとしている話が複雑なため、慌ただしさもあるのだが、そんな中で冒頭のバイクチェイスは少々アンバランスなほどじっくり見せていた。近年の仮面ライダーはライダー要素が薄まりつつあったが、本作の冒頭は「あくまでライダーなのだ」ということを思い出させてくれるスリリングなものだった。
しかしクライマックスのバトルは夢の世界からかつての仲間たちがたくさん登場し、過去のエピソードを知らないとよくわからない内容になっていた。ここにそれぞれのキャラクターの回想シーンなどを入れる余裕はなかったようで、まったく説明がないままに結構な人数が参戦する。
どちらの作品も、上映時間の割に内容が多いため、展開が慌ただしい。それぞれのシーンで余韻を楽しませるような余裕はなく、どんどん話が展開していく。せわしいなという印象を受ける一方で、今のショート動画世代には、このぐらいのテンポ感でないと退屈なのかもしれない、とも思った。これからの映画は、脚本術がこれまでとは大きく変わってくるのかもしれない。