ネパール・カトマンズ、シェルパ族のマヤさんは、21歳で結婚を機に旭川での暮らしをスタートしました。日本語も満足に分かりませんでしたが、すぐに和食店の洗い場で働き始めます。ネパールの社会は家父長的な価値観が根強く、女性が外で働くことはまれ。しかしそうした慣習に息苦しさを感じていたマヤさんは、そこで逞しく働くシングルマザーの同僚たちとの出会いをきっかけに、「女性も強く生きていいんだ」と確信するようになったのです。気付けば自分の店を持ちたいという夢も生まれました。

その後は開店資金を貯めるため、東京やアメリカ、ネパールの飲食店で懸命に働きました。時に外国人や女性ということでの差別に傷つけられることもありましたが、旭川で出会った自由に働く女性たちの姿を思い出し、乗り越えたといいます。

2年前、念願かなって夫とともに旭川で店をオープン。シェルパ族の家庭の味を伝える料理は、どれも優しい味付けで評判を呼んでいます。次の夢は、和食の技術を自国の食文化に取り入れ、もっとネパール文化を知ってもらうこと。「女性でも働いて、立派に店を開ける。時間はあっという間に過ぎるから、なんでも挑戦したい」。マヤさんの笑顔は、自分で道を切り開いた自信と誇りで輝いています。