「庭がある暮らし、最高だよね」。家を建てたあの頃、私たちは確かにそう笑っていた。週末はウッドデッキで優雅にティータイム、初夏には可憐なハーブを摘んで…。だが現実は非情である。
昨夏。あの猛暑にも負けなかった我が家の庭は、もはや無双。一歩足を踏み入れれば、メヒシバの伸びた穂が行く手を遮り、奔放な木の枝が物置を覆い隠し…いやいや、ここはアマゾンか?
気がつけば癒やしの空間は、足を踏み入れるのに躊躇する魔のエリアに。今回はそんなジャングル化した庭に白旗を振り、華麗なる撤退をキメる「ポジティブな庭じまい」について地域のプロたちに尋ねてみた。
まずは、あの忌々しい雑草に絶縁宣言だ。ジャングルへの逆戻りを防ぐためには、足元のベース作りが肝要。「もう二度と草むしりに怯えたくない」という者たちへの最終回答は、やはりコンクリートやアスファルトでの完全封鎖だろう。

しかしのっぺりとしたグレーのアスファルトを敷いただけでは味気ない。意匠性にも気を配る人に向けて、鈴和建設の鈴木和紀社長は道内で唯一「スタンプロード」(①)を導入している。これはアスファルトに、自然石やヘリンボーンの模様を刻印して、塗料で仕上げるユニークな手法。「柄は8パターンあり、色も多彩です。料金も、天然石やレンガを敷くより安価ですよ」。現在は塗料の改善のため一時受注を中断しているが、このアイデアはぜひ取り入れたい。

一方で、「手入れは嫌だが緑は欲しい」という欲張りな願いを叶えるのが、進化いちじるしい人工芝だ。例えばグリーン造園のオリジナル人工芝は、瑞々しく柔らかな手触りと枯れ芝を、実にリアルに再現している。草色だけでなく水色やピンクといったポップなカラーバリエーションも展開していて、庭に個性的なデザインを加えることが可能だ(②)。過去には愛犬家のオーナーのために、プードルをかたどったデザインを施工したそうだ。「アイアンやメッシュ、ウッドなど好みのフェンスを設置すれば、立派なドッグランになりますよ。現地を見て、ご家族に合うサイズ感をご提案します」と代表取締役の和泉信吾さん。愛犬家ならずとも、手を抜きつつ美観を保てる人工芝は一考の価値ありだ。
足元が固まれば、次は管理に追われていた時間を自分の「好き」に充てる作戦プランを考えたい。しかしその前に、冬の強敵についても考えないわけにはいかないだろう。せっかく空いた領土を、雪に占拠させてはもったいない!

雪国にとって最強の守護神といえばやはり、融雪槽やカーポートだ。融雪専門のタテヤマ融雪企画は、相談から施工までワンストップの頼れる存在。融雪槽ひとすじ30年の館山真美社長が、旭川の冬に大いなる安心を届けたいと設立した会社で、地下水を使ったパワフルなマシンが評判だ(③)。「お客様からは、雪かきの時間と労力が大幅に軽減された、庭に雪を積まなくてよいので子供やペットの遊び場にできる、雪溶けが早いので早めに畑を使える、といったお声をいただいています」。そういえばライナーのある男性社員も「融雪槽があると、雪ハネが楽しくなるよ♪」と、少年のような笑顔で話していたっけな…。
冬の悩みから解放され、一年中自由に使える領土が確保できたなら、次に考えるべきは「そこでどう過ごすか」だ。

たとえばセカンドハウスのように使えるログハウスやガレージはどうだろう?事実、(株)ゼストシステム・ガーデンファクトリーの安井大画社長によると「最近は推し活需要が増えています」とのこと。自室に収まり切らなくなった愛するアイドルやスポーツチーム、好きなアニメのグッズやフィギュアを、誰にも気兼ねせずに愛でられる幸せな空間…。同社では設計から施工まで一括して行っているので、窓の位置や壁、屋根、支柱の色までほぼオーダーが可能。構造フレームは鉄骨なので、推しを保管する別邸にふさわしい、おしゃれで頑丈な一棟が叶いそうだ(④)。同社ではほかに、庭に設置できるログハウス風サウナ小屋も扱っている。「薪式で、ロウリュも可能です」。自宅の庭でいつでも整うことができれば、人生はさらに豊かになるだろう。
もちろん、緑をすべて捨て去る必要はない。大切なのは、今の自分たちにとって、ちょうどいい大きさにリサイズすることだ。

たとえば庭木を一本だけシンボルツリーとして残し、今の暮らしに合うサイズに仕立て直す。あるいは広すぎる畑は畳み、小さなハーブ園へ―。「庭木で言えば、隣地に葉が落ちて、ご近所トラブルになることもあるよね。小さくしたいのか、樹形を整えたいのか、まずはオーナーさんの要望が第一。木1本からでも相談してほしいな」と緑の森ガーデンの佐藤秀夫社長(⑤)。「意外と家族内で話がまとまってなくて揉めちゃうこともあるけど(笑)、それは思い入れがあるからこそ。大事なのは、誰の思いを優先するか、だね」。記念樹や大切な思い出のある木は、切った木材で花台を作ってあげることもあるそう。「やらせてもらっているって、感謝の気持ちで仕事してるよ」。
管理できる分だけを慈しむ。これこそが、令和の「華麗なる撤退」の総仕上げといえるだろう。
自分でやればギックリ腰とゴミ袋の山。だがプロに頼めば、数日で世界が変わる。 プロの仕事は「引き算の美学」だ。どれを残し、どれを削れば、あなたが楽に、楽しく暮らせるかを計算してくれる。
さあ、悩んでいるなら今すぐ地元のプロたちに相談してみよう。あなたのジャングル脱出大作戦は、ここから始まる。

地下茎でつながる彼らは、根絶不能な庭界のゾンビ。

もはやご近所トラブルの火種でしかない。

これらを自力で片付けようとするのは、素手でヒグマに挑むようなもの。
鈴和建設(株) 旭川市東旭川北1-6 Tel.0166-73-7125/(株)グリーン造園 旭川市東旭川町下兵村 Tel.0166-36-2525/(株)タテヤマ融雪企画 旭川市神楽4-12 Tel.0166-63-2325/(株)ゼストシステム 東神楽町北3条東2 Tel.0166-83-0005/緑の森ガーデン 旭川市末広8-8 Tel.0166-76-5028